職場でのパワハラに悩まされ、精神的に病んでしまう人は後を絶たない。日本には「忍耐は美徳」とする慣習があるが、それはもう古い考えだ。正常な判断を下せるうちに、仕事を辞めてパワハラから逃れたほうがいいだろう。
神奈川県の20代女性(事務・管理/正社員/年収200万円)は、以前ケーキ屋で働いていたが「店長のパワハラで、うつ状態になったから、1か月で仕事を辞めました」と語る。女性は
「店の対応には不満が残りますが、『もう仕事に行かなくていい』と思うとほっとしています」
と胸中を明かした。パワハラ被害により、やむを得ず短期間で仕事を辞めた人はほかにもいる。彼らの体験談を紹介しよう。(文:大渕ともみ)
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「人に教えられない奴が上にいる会社は不幸です」
香川県の60代男性(その他/アルバイト/年収350万円)は、一時期スーパーの品出しの仕事をしていたが、「指導係の担当主任が最低のカスでした」といい、
「3週間いて名前を呼ばれたことは一度もありません。教えてないことも『お前がやらんで誰がやるんや!』と罵倒するし、わからないことを聞いても、会話なしで顎で指示。本当、最低のカスやったわ!」
と憤る。担当主任の態度に納得のいかない男性は、結局この職場を「3週間で辞めました」と明かした。しかし世の中、男性のように気持ちの強い人ばかりではない。パワハラまがいの指導をされて心を病んでも、泣き寝入りしてしまう人は大勢いるだろう。男性は、
「人に教えられない奴が上にいる会社は不幸です。そういう会社は、いつも人を募集しています」
と持論を述べた。確かに、それは一理あるかもしれない。仕事探しの際の参考になりそうだ。
「適応障害になるほどのパワハラを受けた。何をしても何もしなくても、毎日怒鳴られていた」
都内の40代女性(事務・管理/契約社員/年収350万円)は、親族経営の某運送会社を半年で退職した経験を持つ。退職理由について、女性は
「適応障害になるほどのパワハラを受けたから。何をしても何もしなくても、毎日怒鳴られていた。もちろん挨拶は無視されるので、職場でろくに会話をしたことがない」
と打ち明ける。そのような酷い扱いをするにもかかわらず、なぜ会社側は女性を雇用したのだろうか。その真相は、「『人を雇って、70代の社長夫婦を引退させ、ラクをさせよう』という息子たちのはからいだった」というが、「社長夫婦はそれが気に入らなかったようだ」と女性は綴る。
「腰が痛いだの、足が痛いだの言う割には、私に仕事を取られるのがイヤだったみたい。『まだまだやれるのよ』と。半年しかいなかったけど、理不尽なことをいくつも言われ、怒鳴られ、叱られ、よく半年も耐えたと思う」
理不尽なパワハラもありえないが、挙句の果てには「事務で入社したのに、実際は現場作業だった」と告白する女性。現在の勤め先は「親族経営だけど、天国と地獄ぐらい扱われ方が違う」と言うから、転職は正解だったようだ。
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