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『名探偵コナン』トラウマを植え付けられた人も多いはず! “ホラー”エピソードに思わず背筋がゾクッ……

2021年05月22日 15:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『名探偵コナン』“ホラー回”に背筋がゾクッ

 前回『トラウマ回 ”スプラッタ編”』と題し、『名探偵コナン』の記憶に残るような血生臭いトラウマ回を特集した。(https://realsound.jp/book/2021/04/post-746211.html)


 今回は『ホラー編』と題し、同じく『名探偵コナン』のトラウマに残るようなホラーテイストな回を特集する。あなたの記憶に残っているのはどのエピソードだろう。


関連:【画像】江戸川コナン誘拐事件が収録された第5巻


■幽霊屋敷殺人事件(第2巻)


 単行本第2巻に収録の『幽霊屋敷殺人事件』。コミックスとしては少年探偵団の面々が初登場したエピソード。近所の洋館で悪霊が出るという噂を聞き、洋館へと向かう少年探偵団の面々。洋館の内部に違和感を覚えるコナンだったが、その後息つく間もなく光彦、そして元太と神隠しにあったように消えていく。特に光彦の身に危険が迫った瞬間の彼の恐怖に慄く表情はホラー漫画そのもの。光彦と元太を探すコナンと歩美だが、そこに現れたのはまるで幽霊のように館を闊歩する老婆の姿。そのおどろおどろしくオカルトでホラーチックな描写はその後の『コナン』ではあまり見ない、初期ならではの珍しい描写だ。


 その後地下へと続く隠し扉を見つけ、歩を進めるコナンと歩美だったが、地下室には檻に閉じ込められ、野獣のように雄叫びを上げる男の姿が……。老婆と男の正体、そしてその先に待つ意外な真実。この先はぜひ単行本でチェックしてほしい。


■江戸川コナン誘拐事件(第5巻)


 第5巻収録の『江戸川コナン誘拐事件』。コナンが居候する毛利探偵事務所にコナンの母親を名乗る女がやってくる。もちろん江戸川コナンは工藤新一が幼児化した仮の姿であり、母親の存在などありえない。抵抗するコナンだが、女はコナンの正体が工藤新一だということも見抜く。黒の組織の一員かと焦ったコナンは女の元から逃げるものの、逃亡も虚しく再度連れ去られてしまう。見知らぬ家に連れ去られたコナンは、女と共に行動する仮面とシルクハットの男に監禁されてしまう。


 このエピソードはやはり、連載当時は阿笠博士以外知らないはずのコナンの正体を知っている謎のふたり、その点に多くの読者が恐怖心を抱いたことだろう。さらに、常に口角が上がった真っ白の仮面にシルクハット、マントにスーツという男の出で立ちもトラウマ級の衝撃だ。このキャラクターはこの後も別の事件で登場する。こちらも併せて読んでほしいエピソードだ。


■図書館殺人事件(第10巻)


 『コナン』史上でも類を見ない程の衝撃を読者に与え、その後もネットを中心に語られ続けるエピソードがこの『図書館殺人事件』。休みの日に図書館にやってきたコナンと少年探偵団の3人。図書館職員の玉田が行方をくらませている情報を聞きつけた4人は、閉館後も図書館に残り、館内にあるはずの死体を捜索する。そこにやってきた館長の津川。津川館長から逃れ逃れ身を隠しながら、麻薬の密輸を勘づかれた津川館長が玉田を殺したことを突き止める。玉田の死体も見つけ出し、急ぎ図書館から脱出し警察への通報を試みようとしたコナンたちだが、目の前には津川館長が立ち塞がる。


 この『図書館殺人事件』が「サンデー」掲載から25年以上経過した今も語られ続けるのは、やはり津川館長の衝撃的な描かれ方によるところが大きいだろう。犯人が津川館長だと発覚して以降、彼が出てくるシーンは全てがトラウマに残るようなゾクゾクとする恐怖を感じる物ばかり。特に何度か出てくる津川がコナンたちを探すために顔を覗かせるシーンは衝撃。ストーリーが進むにつれ狂気を増す津川館長の姿や表情が今なお沢山のファンの記憶に残り続ける名エピソードだ。


■赤女の悲劇(第82,83巻)


 前回の『スプラッタ編』でも記した通り、数こそ減ってしまったものの、作者の青山剛昌は今もなお読者のトラウマに残るようなエピソードを描いている。特に近年のトラウマエピソードと言えばこの『赤女の悲劇』だろう。


 コナン、蘭、園子、そして世良の4人は長野の森の中に建つ貸別荘を訪れる。世良は探偵としてこの別荘の謎を解くという依頼を受けていた。貸別荘でコナンたちは近くの別荘で起こった凄惨な殺人事件と、その殺人鬼である“赤女”が今もなお逃亡中であることを知る。やがて別荘では依頼者の知人である薄谷が殺され、一同は赤女の犯行を疑うが……。


 このエピソードのトラウマポイントは、赤女の容姿や表情だろう。特にとある事件関係者が赤女との過去を振り返る回想シーンは、返り血を浴びた赤女が目を見開き笑みを浮かべながら包丁を投げつけてくるというなんともショッキングな描写になっている。そして蘭や園子などのレギュラーメンバーや貸別荘に居合わせた関係者たちが赤女に恐怖する表情も、読者にさらなる恐怖を与える。恐怖の対象そのものではなく、周りのキャラたちが恐怖する表情こそ、青山剛昌的・トラウマエピソードの神髄かもしれない。


 他にも、16巻収録の「帝丹小七不思議事件」や、20~21巻に収録の「青の古城探索事件」、56巻収録の「鬼婆伝説殺人事件」など、27年近い歴史を持つコナンの中でもホラーめいたエピソードは数多くある。あなただけのお気に入りの1本をぜひ見つけてほしい。


(文=ふじもと)