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少年忍者・内村颯太が動画配信者に? 夢野久作の世界観をどう演じるのか

2021年05月22日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

少年忍者・内村颯太が動画配信者に?

 夢野久作の「空を飛ぶパラソル」を原案にしたドラマが、「WOWOW オリジナルドラマ 文豪少年! ~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~」にて少年忍者 内村颯太主演で5月23日に放送・配信される。


 『文豪少年!』はジャニーズJr.の人気ユニット「少年忍者」から精鋭12名を主演に迎え、日本文学を代表する文豪たちの小説を新たな切り口で映像化する、一話完結のオムニバスドラマだ。


関連:『WOWOWオリジナルドラマ 文豪少年!~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~』ポスタービジュアル


 舞台は町の片隅にある小さなブックカフェ。この店では訪れる人々の少年たちの抱える悩みやためらいに合わせて、未来を拓くための一冊が用意される。少年たちが、カフェのマスターに手渡された本をめくってみると、彼らだけの物語の世界が始まる――。


 最終回となる第十話「冬の青い日傘」で原作となるのは、夢野久作「空を飛ぶパラソル」。


 夢野久作は1889年に福岡県で生まれる。父は、政界の黒幕と呼ばれた政治活動家の杉山茂丸。僧侶、農場経営者、新聞記者などを経て、1926年に雑誌『新青年』の懸賞小説に「あやかしの鼓」が当選し37歳で作家としてデビュー。約20年かけて書き上げた大作「ドグラ・マグラ」はその難解さから、日本探偵小説三大奇書の一つに数えられている。


 1929年発表の「空(くう)を飛ぶパラソル」は、作者が新聞社時代の経験を下敷きにしただろう奇妙な味わいの小説だ。


 新聞記者の〈私〉はある日、パラソルを片手に捧げて畦道を歩く盛装の女を見かける。女が線路にたどり着き枕木の上に突っ伏すと、そこを機関車が猛スピードで通過していく。すぐさま現場へ駆けつけて、取材を開始した〈私〉。死体の身元を洗い、美人看護婦の時枝ヨシ子が「色魔」と評判の医学士・早川との恋愛関係のもつれによる自殺をしたとするスクープ記事を書き、他紙を出し抜くことに成功する。


 ところが後日知り合いの警部に話を聞くと、亡くなったのはヨシ子ではないし記事は事実無根だと、彼女の父も早川も保身のため白を切っているという。〈可哀相に君のお陰で親に見棄てられた上に、恋人にまで見離された無名の骨が一つ出来たわけだ〉。そんな警部の言葉が気に掛かった状態で深酒をしてウトウトしていると、〈私〉の視界の底から一本の空色のパラソルが浮き出てくる。


 今回主演を務める内村颯太は、ドラマの中でスクープが欲しい記者ではなくバズる動画のネタが欲しい動画配信者となって登場。ブラックユーモアにあふれる社会派(?)ドラマになっている。普段から素直でまっすぐな感情表現が魅力の内村が、再生回数とコメント欄に一喜一憂する演技は必見だ。


(文=藤井勉)