モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツweb。両者がコラボしてお届けするweb版『Racing on』がスタートしました。
web版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。第10回のテーマはマツダ757です。
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名機『787B』がル・マン24時間レースにおいて総合優勝を果たしてから今年でちょうど30年。そんなマツダがル・マン制覇を目指す道のりのなかで、ひとつの転換点となったマシンが、今回紹介するマツダ757だ。
マツダ/マツダスピードは1970年代から継続的にル・マンへと挑戦し、1983年には2ローターの13Bを搭載する717CでCジュニアクラス優勝を果たすなど一定の成果を挙げていた。そして1986年、さらなる高みを目指すべく、ブランニューマシンの757を投入し総合優勝を狙えるクラスへとステップアップした。
757は、GTIエンジニアリングでポルシェ962Cの設計を担当することにもなるナイジェル・ストラウドがシャシーを設計。
この時代、すでにカーボンモノコックを使い始めていたチームもいたが、757はノウハウが豊富だったことと、コストの面も考慮してアルミモノコックを選択した。
要となるエンジンは、13G型と呼ばれる3ローターロータリーを搭載。オーバーオールウインを狙うクラスへのステップアップにあたり、モアパワーのロータリーが求められた結果、13Bの2ローターターボも試されたが、排気温度が高くなりすぎる問題をこの当時はクリアできず、マルチローター化によるパワーアップを選択した。
そのエンジンに組み合わされるギヤボックスには、ポルシェ製を採用。ロータリーの構造上、ギヤボックスを上下逆にして搭載していた。
こうして1986年に誕生した757だが、同年のル・マンにおいては参戦した2台にインプットシャフトなどのトラブルが発生、リタイアを喫してしまう。
その後、国内のJSPCで熟成を重ね、再び757で挑んだ1987年のル・マンでは、202号車が総合7位、クラス優勝という快挙を成し遂げたのだった。
1988年以降も767、767B、787、787Bと苦難を乗り越え、成果を得ながら総合優勝への道をひた走るマツダにとって、この757は第2の出発点とも言えるマシンだったのかもしれない。
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本誌『Racing on』からのお知らせです。今回、冒頭でも記述した今からちょうど30年前の1991年に日本車初のル・マン・オーバーオールウインを達成したマツダ787Bを始めとするグループCカーが終焉へと向かっていく時代、1989年から1994年までのマシンをぎゅっと集めた『グループCカーのすべて Vol.2 1989-1994』が絶賛発売中です。
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定価1078円 (本体価格980円)
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定価1078円 (本体価格980円)