2021年05月21日 10:01 弁護士ドットコム
「友人がお酒の席で寝てしまっている間に、上司から髪をブリーチされてしまった」。弁護士ドットコムにそんな相談が寄せられました。
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相談者によると、相談者の友人はお酒に弱く、普段は飲む量をセーブしていたようです。ところが、その日は上層部の誕生日会。初めての参加で楽しかった友人は勧められるがままに飲んでしまったといいます。
つい寝てしまった友人が目を覚ますと、金髪にされ、周囲はそれを笑っているという状況だったそうです。友人はその状況を受け入れられなかったそうですが、翌日には仕方なく髪を黒く染めて出社したそうです。
自分から参加したとはいえ、本人の意思を確認せずに髪を染めたり抜いたりする行為は法的にどのような問題になるのでしょうか? 鈴木淳也弁護士に聞きました。
--刑事上の問題に発展する可能性はありますか
本人の同意なく勝手に髪の毛を染める行為は暴行罪(刑法208条)が成立する可能性があります。
次に、一歩進んで傷害罪は成立しないか問題となります。傷害罪における傷害とは人の生理機能や健康状態を害する行為をいいます。ブリーチは薬品を使って行うものですので、それによって頭皮が炎症を起こすことがあれば、生理機能を害したといえますので、傷害罪(刑法204条)が成立する可能性があるでしょう。
なお、民事上は不法行為(民法709条)となりますので、加害者に対して損害賠償請求をすることが可能です。
--周囲の人も罪に問われる可能性があるのでしょうか
現場で計画を一緒に立てる、計画を聞いてブリーチを用意する等といった行動をしていたのであれば、共犯者として処罰されます。
一方で、ただ見ているだけということですと、道義的には止めるべきであったといえますが、共犯とまではいえず、罪に問われません。
【取材協力弁護士】
鈴木 淳也(すずき・じゅんや)弁護士
第一東京弁護士会所属。大学時代は理学部に所属し、地球温暖化システムについての研究をしていた。しかし、多くの人と触れ合い、広く社会の役に立てる仕事に就きたいと考え、決まっていた就職を辞退し、司法試験を目指すことに。気象予報士の資格を持つ理系弁護士として、民事・刑事を問わず困っている人に寄り添う弁護活動を行う傍ら、お天気情報をブログで発信している。
事務所名:鈴木淳也総合法律事務所
事務所URL:https://law-sj.com/