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うるさい!住宅街でファミリー20人が道路遊び、花火打ち上げ…住民に損害賠償請求はできますか

2021年05月18日 10:31  弁護士ドットコム

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家の前の路上が子どもたちの遊び場になっていて困っている——。弁護士ドットコムには、「道路遊び」に関する相談が複数寄せられています。


【関連記事:「5回も堕胎したのに...」不倫に溺れた29歳女性、別れた後に「慰謝料600万円」される。法的には?】



ある相談者は、2年前に新築の建て売り住宅を35年ローンで購入しました。駅からは15分ほどで、袋小路の道路に15世帯ほどの住宅が並んでいる場所です。



入居半年ほど経ったころから、子どもがいる世帯による道路遊びが目立つようになりました。最初は「車が通るのに危ないな」程度に感じていましたが、どんどん参加者が増えていき、最近は5~6世帯20人近くが集まり遊ぶようになりました。



相談者の自宅は2面が道路に面しており、生まれたばかりの子どもが目覚めるほどの騒音に悩まされました。遊んでいた父親たちに「度が過ぎているのでは」と注意しましたが、「自宅前の路上で遊ぶことのなにがダメなのか分からない」と言われてしまいました。



その後も、改善するどころか21時まで大騒ぎして花火をする始末。相談者も妻も限界を感じ、自宅を売却することにしましたが、「相当な金額の損益になる」と話します。



相談者はドライブレコーダーなどの画像を記録していますが、近隣住民に対して損害賠償請求はできるのでしょうか。後藤貞和弁護士に聞きました。



●解説のポイント

・受忍限度を超えれば損害賠償が認められる
・騒音は証拠にしておくことが大事
・慰謝料や引っ越し費用などを請求できる可能性がある



●騒音が受任限度を超えるかどうか

受忍限度を超えるかがポイントになります。人が生活する以上、何らかの物音や行為が存在することを直ちに違法とは評価できませんが、ある一定程度のレベルを超える場合は、受忍すべき限度を超えるとして、権利侵害のある不法行為(民法709条)となり損害賠償が認められます。



騒音に関し受任限度を超えるかは、騒音の大きさ(何デシベルか等)や、騒音の性質、音の発生原因、時間帯、頻度、継続時間、継続期間等の事情を総合考慮し、客観的に判断されます。



今後請求する場合に備えて、どのような騒音等があったか記憶を整理するとともに、今後発生するものについてはできる限り証拠化しておくべきでしょう。



●調停で話し合うのも手

さらに、近隣住民の行為が相談者及びその家族への嫌がらせとして行われているようであれば、受忍限度とは別の観点から不法行為となりえます。



その他、何か壊されたといった物的な被害があった場合、その被害を回復するための損害賠償請求も考えられますし、迷惑行為の差止を求める仮処分という手続を行うことも考えられます。



損害賠償請求の内容は、精神的苦痛に対する慰謝料、引越費用、場合により新たな住居の賃料・買い換え費用(現在の住居の売却額等との差額)を請求できる可能性があります。



最後に、訴訟で損害賠償請求をする以外にも、警察に相談し注意してもらうことや、調停で話し合うことも選択肢にはなるでしょう。




【取材協力弁護士】
後藤 貞和(ごとう・さだかず)弁護士
2014年弁護士登録、仙台弁護士会所属。当事者の納得いく解決を目指した親切・丁寧な対応をモットーとしています。Chatwork等のビジネスチャット、ビデオ通話による相談にも対応しています。お気軽にご相談ください。

事務所名:弁護士法人後藤東京多摩法律事務所
事務所URL:https://goto-lawoffice.com/