WTCC世界ツーリングカー選手権の2012年チャンピオンであり、WTCR世界ツーリングカー・カップ参戦経験も持つロブ・ハフが、新たにZengő Motorsport(ゼングー・モータースポーツ)と契約を結び、WTCRに復帰することが決定。すでにアナウンス済みのミケル・アズコナ、ジョルディ・ジェネ、さらに4月末に契約延長がアナウンスされたベンス・ボルディズらと強力なラインアップを形成し、クプラ・レオン・コンペティションTCRのステアリングを握ることが決まった。
かつてSebastien Loeb Racing(セバスチャン・ローブ・レーシング/SLR)からWTCRに参戦していたハフだが、フォルクスワーゲンの「今後は内燃機関搭載のレーシングカーによるワークス活動は行わない」というモータースポーツ活動方針に従い、SLRとともにシリーズを離脱。
近年はアジア地域のCTCCチャイナ・ツーリングカー選手権やTCRアジア、そして北欧のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権に活動の場を移し、昨季はSTCCで初タイトルも獲得した。
「2021年に向け古くから知るゼングー・モータースポーツの一員になることができ、こうしてWTCRにカムバックを果たせて本当にうれしいよ」と、世界戦復帰の喜びを語ったハフ。
「僕はこの新型クプラが競争力のあるマシンであることをよく知っている。2年前に開発を手伝ったフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRといくつかの部分で基盤を共有しているからね。それに昨季はSTCCでこのクルマに乗る強豪と熾烈なタイトル争いを経験したから、僕自身がそのステアリングを握れれば素晴らしいね」と、PWR Racing(PWRレーシング)のロバート・ダールグレンを念頭に続けたハフ。
2021年もディフェンディングチャンピオンとしてSTCC参戦をアナウンスしたハフは、この5月中旬にもゼングーの本拠地であるハンガリーに向かい、ハンガロリンクでクプラ・レオン・コンペティションTCRの初テストを完了している。
「我々のチームに元世界王者を迎え入れることができ、とても光栄だ。ここ数カ月、我々が交わしてきた話し合いが荒唐無稽で無意味なものでなかったことは、誰の目にも明らかだ」と語るのは、チーム代表のゾルタン・ゼングー。
「我々の目標はこのWTCRでドライバーとチームの両タイトルを獲得することだ。今季のチームは若さと経験を兼ね備えており、このコンボが成功をもたらすと確信している」
■WTCRは2025年まで開催へ。FIAとライセンス契約を延長
ただし、2021年もLestrup Racing(レストラップ・レーシング)とともにSTCCのタイトル防衛に挑むと発表したばかりのハフは、WTCRのニュルブルクリンクとSTCCのユンビヘッド・パーク、おなじくハンガロリンクとゲラーローゼン・アリーナの2戦でカレンダーがバッティングしており、双方のチームとともにプログラム衝突の対処が必要となる。
一方、ハフより一足先の4月末に2年間の契約更新を発表した23歳のボルディズも、引き続きチームとともにシリーズを戦い「この強力なメンバーやクプラとともに、ドライバーとしてさらに進化したい」と意気込みを語った。
「デビューイヤーの昨季はかなり激しい年で、本当にたくさんのことを学んだ。5月に初めてTCR車両のテストをし、シーズン終盤には世界最高のツーリングカー・ドライバーたちに混じり3回の予選Q2進出も果たした。地元ハンガロリンクではリバースポールを獲得できたのも良い思い出だ」と続けたボルディズ。
「それでも僕はまだ学習段階にあり改善を続ける必要があるが、今季はさらに多くのQ2進出が目標になる。それができれば、レースのスタートポジションで優位になるからね」
「ほかのメンバーのように多くの経験を持っていないし、その点でミケルは本当に親身に僕の力になってくれた。さらに今季は経験豊富なジョルディやロブが加わるし、クプラと合わせてともに戦えることは僕の素晴らしい資産になるだろうね」
また、ホンダ陣営のMünnich Motorsport(ミュニッヒ・モータースポーツ)も改めてホンダ・レーシングとのパートナーシップ契約延長を発表し、2021年もエステバン・グエリエリ、ネストール・ジロラミ、ティアゴ・モンテイロ、アッティラ・タッシの2チーム4台体制を敷くことを確認。
また、シリーズを運営するEurosport Events(ユーロスポーツ・イベント)は、新たにFIA国際自動車連盟と3年間のライセンス契約延長に合意し、WTCRを2025年まで開催すると発表している。