新型コロナウイルスで引っ越しを検討する人が増えている。特に東京都内に住んでいる場合、都のコロナ対応のほか家賃の割に狭い部屋に不満を感じる人が多いだろう。何よりも、テレワーク導入で無理して職場の近くに住まなくてもよくなったのは大きい。
では、東京近郊で引っ越すなら、どこがよいのか。鉄道事情にも詳しい恋愛コンサルタントの鈴木リュウさんに、東京に隣接する埼玉県でおすすめの移住先を5つ聞いた。
東京近郊の良さを味わいたいなら「川口」
鈴木さん曰く、「東京在住で感じるデメリットを排除しながらも、メリットを味わいたいなら川口駅がおすすめですね」。埼玉県の一番南で路線は京浜東北線。ひとつ手前は赤羽駅、川を渡ると東京という立地だ。
「緊急事態宣言で東京都下はアルコール提供禁止ですが、埼玉県ではその限りではありません。川口では今も普通にお店を営業しています。東京の緊迫した空気がつらいなら、そちらに逃げるのも手なのではないでしょうか」
基本はテレワークではあるものの、週に数日は出社しなければならない人に特におすすめだという。
「上野駅まで約20分の好アクセスなのに、家賃相場も赤羽から1駅離れるだけで1万円近く下がります。ちなみに隣駅の西川口駅付近ならさらに下がりますね。繁華街もありますし、スーパーなども充実しているので、テレワーク中の買い物や飲食にも困りません。首都高川口線もあり、車があればより便利になります。都心にも草加方面にも行きやすいです」
鈴木さんによると、川口なら交通面でもオリンピックに翻弄されずに済むという。「首都高の一番左車線は選手移動用に使用され、さらに渋滞に巻き込まれることが予想されます。オリンピックに振り回される東京にいちいち構っていられない、でも東京の良さも享受したい人にはうってつけですね」と話す。
家族連れには"埼玉の港区"の「北浦和」
京浜東北線でもう少し進むと、東京から近い順に「南浦和」「浦和」「北浦和」と続く。南浦和駅は京浜東北線の始発駅でもあり、都心に通勤するなら使い勝手がいい。浦和駅付近はパルコなど商業施設の中心地となっている。家族連れに薦めたいのは「北浦和駅」だ。
「進学校の県立浦和高校があることで有名な北浦和。北浦和図書館や北浦和公園などがある文教地区です。浦和区の中でも喧騒から離れた場所で、落ち着いて生活するならここですね」
鈴木さんによると「埼玉県民にとって浦和区は東京都港区のようなイメージです。中でも北浦和は、元麻布や南麻布に該当する落ち着いた街といえます」。
テレワークの普及で飲み歩きをしなくなり、家族にとっていい環境に引っ越したいと考えている人に適しているという。
「物件価格も含め、港区より手が届く相場感になっています」
「草加」「鶴ヶ島」「ふじみ野」もおすすめ
都心へのアクセスと生活クオリティを重視したいなら「草加」
テレワーカーだが、週に2日ほどは東京に行くという人の場合、やはり都心へのアクセスを重視したい。「草加駅なら東武伊勢崎線の急行が停まり、上り電車の次の駅は東京都の西新井駅です。ほぼ足立区のような場所なので、電車通勤・通学の人におすすめですね」とのこと。
「高速道路に関しても首都高が走っていますし、利用しやすいインターチェンジも3つあります。東京だけでなく、埼玉県の移動も便利です。越谷レイクタウンも近く、電車でも10分程度。IKEA、コストコ、イオンなども利用可能。車・電車生活のハイブリットだとより便利です」
山だけじゃない!自然を楽しみたいなら"海に最も近い埼玉"の「鶴ヶ島」
鶴ヶ島市と川越市の境に位置する鶴ヶ島駅(東武東上線)は、これまで紹介したエリアよりも都心から離れる。メリットは「やはり家の安さです。4LDKで10万円ほど。一軒家にも住めます」という。家が広くなると仕事部屋が持てるので、「ほとんど通勤のないテレワーカーに勧めたいです」とのことだ。
「車移動が前提になりますが、近くにはゴルフ場や埼玉県こども動物自然公園、智光山公園などがあり、自然のレジャーを楽しめます。圏央道と関越道の交錯点なので、神奈川の平塚や茅ヶ崎まで約1時間の"最も海に近い埼玉"。海のレジャーへも行きやすいです」
とはいえ"車を持つ"ことに金銭面で不安を覚える人もいるのではないか。鈴木さんは「鶴ヶ島に引っ越せば家賃や生活費も安くなるので、買ったり借りたりで十分おつりが来ますよ」とアドバイスする。
郊外過ぎない「ふじみ野」なら今の家賃のまま+1部屋も叶う
東武東上線の「ふじみ野駅」について、鈴木さんは「埼玉の横浜・青葉台、新百合ヶ丘ともいえます」という。池袋駅へは電車で30分ほど、車だと三芳スマートICから都心まで早いと20分ほどで着く。
「都心へのアクセス面では川口並みに便利ですが、鶴ヶ島も近く、埼玉のいいところも享受できる街です。ポイントは大きなショッピングモールがあること。ららぽーと富士見があるので『ここに行けば何でも揃う!』というのがいいですよね」
川口と鶴ヶ島の中間といえる街のようだ。「一軒家もある一方、マンションも充実しています。練馬や杉並あたりに住んでいる人なら、現在の家賃のままもう1部屋増やせます」という。テレワークをきっかけに住環境を見直す人も多い。埼玉県への移住もひとつの手だろう。