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新エンジン投入のトヨタ、今季初のグラベルラリーに向け「準備はできている」/WRCポルトガル

2021年05月14日 18:11  AUTOSPORT web

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現チーム代表ヤリ-マティ・ラトバラ駆るトヨタ・ヤリスWRC 2019年WRC第7戦ポルトガル
WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racingは、5月20日から23日にかけてポルトガルで開催される2021年シーズン第4戦『ラリー・ポルトガル』にエントリー。過去3戦と同様にセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組の3台のトヨタ・ヤリスWRCでトップカテゴリーに挑む。

 2021年シーズンも引き続き世界最高峰のラリーシリーズに挑戦しているトヨタは、雪混じりの舗装路で争われた開幕戦モンテカルロ、フルスノーのアークティック・ラリー・フィンランド、フルターマック(舗装路)でのクロアチア戦を終えた時点で、3戦中2勝をマークしているオジエがドライバーズ選手権首位に。マニュファクチャラーズ選手権でも2度のワン・ツー・フィニッシュ達成によってランキング首位に立っている。

 そんなチームが迎えるのが今季初のグラベル(未舗装路)ラリーであるWRC第4戦ポルトガルだ。長い歴史を持ち、非常に人気の高いこのラリーだが、2020年は新型コロナウイリスの影響で開催が中止されており今季は2年ぶりの開催となる。

 また、今戦は2021年から単一タイヤサプライヤーを務めるピレリのグラベル用ラリータイヤを履いて行われる初めてのイベントでもある。

 ポルトガルのステージは高速区間とテクニカルな区間が混在。その多くは表面が軟らかい砂や目の細かな砂利で覆われ、充分なグリップが得られない。ただし、多くのラリーカーが走行した2ループ目には砂が掃けグリップが向上する。その一方で、砂の下から硬い岩盤や石が顔を見せ、深い轍(わだち)も刻まれることからタイヤへの攻撃性は高まることになる。

 ラリーの拠点となるサービスパークは例年と同様に北部の大都市ポルト郊外のマトジニョスに置かれ、同地を中心に21日(金)から競技が行われる。イベント初日の20日(木)はシェイクダウンと、その日の夜に古都コインブラでセレモニアルスタートが実施される予定だ。

 日中のサービスが設定されていない金曜はスーパーSSを含め計8本を走行。中日の22日(土)は7本、最終日の23日(日)にはビッグジャンプで知られる名物ステージ“ファフェ”を含む5本のSSが設定されたラリーの合計距離は337.51kmだ。リエゾン(移動区間)を合わせた総走行距離は1514.07kmに上る。

■出走順が1番手になるため「雨が降ること期待している」とオジエ

 ラリー・ポルトガルを迎えるにあたり、トヨタは参戦車両のヤリスWRCをアップデート。前戦クロアチアでの空力パッケージに加え、今戦ではパワーと信頼性を向上させた新エンジンを投入する予定だ。

 また、事前に行われたテストでは今季初のグラベルラリーに向けてセットアップを進め、ヤリスWRCと新しいピレリタイヤとのマッチングを確認している。

「ポルトガルに戻ることができて、とてもうれしく思う」と語るのは、ポイントリーダーのオジエ。

「今回はステージの出走順が1番手となるため、厳しいコンディションでの走行が予想される。だが、ポルトガルではこの時期雨が降ることもあるので、そうなってくれることを期待している」

 チームメイトのエバンスは「ここまで戦ってきたラリーと同じように、ポルトガルでも新しいタイヤに慣れながら戦うことになるだろう。事前のテストではすべてが順調だったが、本番では例年と同様に使用できるソフトタイヤの本数が少ないため、タイヤ選択に影響が出る可能性がある」と語った。

 今戦、トヨタチーム内ではもっとも遅い出走順となるロバンペラは「クロアチアでリタイアした数日後に、ポルトガルの事前テストでふたたびクルマをドライブできて良かった」とコメント。

「久しぶりのグラベル走行だったから、感覚を取り戻すのに少し時間が掛かったけど、クルマと新しいグラベルタイヤのフィーリングは全体的に良かったと思う」

 ターマック主体の序盤3戦を好成績で終え来週、シーズン4戦目を迎えるTOYOTA GAZOO Racing WRTのチームプリンシパルを務めるヤリ-マティ・ラトバラは、ポルトガルのグラベルラリーでも良い結果を残すことができると確信している、と述べた。

「クロアチアのターマックで我々は良い結果を残したが、これからしばらく続くグラベルラリーに向けても準備はできている」

「通常、ポルトガルのステージは道の表面が砂で覆われているため、午前中のステージで最初に走行するクルマにとっては非常に滑りやすい路面となる。午後になるとタイヤのグリップは高まるが路面が荒れてくる場所もあり、それがクルマやタイヤにとっていかに厳しいことであるかを過去に見てきた」

「セブ(セバスチャン・オジエ)は選手権のリーダーであるが故に出走順が1番手となり、かなり難しい挑戦になるが、きっと最善を尽くしてくれるはずだ。エルフィン(・エバンス)の出走順はセブよりも少し良く、カッレは3人の中でもっとも有利な出走順なので、きっと他の選手と渡り合えるだろう」

「チームは2、3週間前にポルトガルでテストを行い、ピレリの新しいハードおよびソフトコンパウンドのタイヤを履いて走り、最適なセットアップを見つける努力を重ねてきた。今回もまた、全チームがどのように新しいタイヤに適応するのか興味深いが、我々は良い結果を残すことができると確信している」