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【漫画】主婦とギャルは“モラハラ夫”にどう復讐した? 痛快なラストに共感の声

2021年05月14日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『モラハラ夫に悩む主婦とギャルの話』/岡部アズサさん提供

 夫からのモラハラに悩む主婦・ヨウコと、コンビニ店員のギャル・カナコのシスターフッド的友情を描いた『モラハラ夫に悩む主婦とギャルの話』。リアリティのある世界観と痛快な復讐劇が話題を呼び、作者の岡部アズサさん(@aztmge)のTwitter上には、「最高にスッキリした!」「ラストが素敵」「心にくる作品……。」など、多くのコメントが寄せられている。


 岡部さんは現在、会社員として働きながら商業誌での連載を目指し作品の創作を続けている。「リアルサウンド ブック」では創作の背景、本作の見どころ、創作において心がけていることなど、話を聞いた。


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ーー『モラハラ夫に悩む主婦とギャルの話』がTwitterで大きな反響を呼んでいます。今回の反響を受けての感想をお聞かせください。また印象に残った読者からの感想はありましたか?


 まさかこんなに多くの方に読んいただけるとは思っていなかったので驚きました。実はこの漫画は、ちばてつや賞に出して落選したものなんです。なので、予想に反して「面白かった」という感想をたくさんいただけて、本当に救われました(笑)。


 私自身は誰かにモラハラをされた経験はありませんが、感想の中には「実際にモラハラされました」というリプがいくつもあり、辛い思いをされた方がたくさんいるんだなと改めて気付かされました。また、こういう話は男性目線だと不快に感じる方もいるのかなと思っていたんですが「男でもスカッとする」という感想をいただけたのは嬉しかったですね。


ーー「夫や兄弟からのハラスメントを受ける女性たち」という問題提起がありながらも、お互い悩みを抱えた者同士、ヨウコさんとカナちゃんが絆を深め成長する過程、シスターフッド的な友情が心を揺さぶる漫画作品だと感じました。創作のきっかけを教えてもらえますか?


 普段は会社員として働きつつ、商業誌での連載目指して漫画を描いているんですが、ここ1年くらいほとんど原稿を描いていなかったんです。そんな時に、お世話になっている編集の方から「しばらく原稿描いてないから何か描かない?」とお話をいただいて、描いたのが今回の『モラハラ夫に悩む主婦とギャルの話』です。


 この話を考えるまでいくつかプロットを出したんですが、それが全然面白くなくて(笑)。行き詰まっていた時に観た、女性二人の逃避行を描いたロードムービー『テルマ&ルイーズ』に触発されて、こういう話を日本を舞台にして描いてみたら面白そうだなと思ったんです。


ーー映画のようなコマ割りやセリフ運び、特にカナちゃんが兄を池に突き落とすシーンの一枚絵、ヨウコさんが「アナタが私がいないと生きていけないのよ」と語る一枚絵の迫力が印象的でした。映画の表現や手法は意識していますか?


 実写映画は実際の風景の中で人間が演じている姿を撮影しているので、当然なんですけど作品にすごくリアリティがあると思うんです。そういうリアリティを漫画でも表現したいので、会話や演出のヒントは映画からインプットすることが多いですね。


ーー今回の作品で一番こだわったポイントはどこですか?


 モラハラなど実際の問題をそのまま創作で描く時は、被害者側に感情移入しがちで、対立する相手を悪く描いてしまうので、できるだけ冷静に全体を俯瞰するように心がけました。こういった話は「やられたからやり返すみたいな展開」が多いと思うんですが、今回の漫画ではそういう展開にしたくないと思っていたんです。そういった意味で一番こだわったのはラストの展開ですね。ヨウコはスマートな人で、人にやり返して満足するような人ではないので、相手に情けをかけたラストになりました。 


ーーすっきりとした読後感、希望が見出せるストーリーの結び方がとても秀逸でした。今後のストーリーを描いてみたい気持ちはありますか? 


 「辛くて閉鎖的な生活から自分たちの力で抜け出す」「モラハラ夫・兄の鼻を明かす」。そのカタルシスが見どころなので、続きを描く予定は今のところありません。このあとのストーリーを描くと、また2人にいろんな試練が降りかかってきて、このラストが霞んでしまうと思うので、今回の話はここで終わらせます(笑)。