WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは来週、5月20~23日に行われるWRC第4戦ポルトガルで、トヨタ・ヤリスWRCにより強力な新エンジンを投入する。
改良された1.6リットル直列4気筒直噴ターボエンジンはドイツ、ケルンにあるTOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ(旧TMG)で最初に設計・製造、組み立てられたもの。2022年に迎える“WRCハイブリッド時代”を戦うトヨタのラリー1規定車に引き継がれるパワートレインのベースとなる。
ヤリ-マティ・ラトバラ代表が率いるチームは、ニューエンジンが先月のクロアチア・ラリーの時点で準備ができていたことを認めたが、彼らは来週のラリー・ポルトガルまでアップデートを保留する決定を下した。
この理由について、トヨタのテクニカルディレクターであるトム・ファウラーはWRC公式サイトのwrc.comに対して「理論的に(そうした)」と答えた。
「クロアチアよりもポルトガルの方がエンジンに関しては単純だったが、実際には我々はしばらくの間、作業を行ってきた」
「エンジンが発するパワーを大きくすることで、より多くの馬力を引き出すことができる」と語ったファウラーは次のように続けている。
「これまではトルク面でより多くの作業を行ってきたが、今回はパワーだ」
彼によれば、このエンジンが実際に製造されたことで大きな前進があったという。
「これは通常、アップグレードや進化と見なされるようなものではない」とファウラー。
「社内でコンプリートエンジンを製造することは、私たちが以前からやろうとしていたことだ。自分たちの施設内ですべてを作ることは本当に興味深く、素晴らしいステップと言えるだろう」
2020年のポルトガルラウンドは新型コロナウイルスの影響で中止されたが、その前年は当時トヨタに所属していたオット・タナク(現ヒュンダイ)がヤリスWRCで優勝を果たした。
同地で2年後しの連覇を目指すトヨタは現在、王者セバスチャン・オジエがドライバーズ選手権でポイントリーダーに立ち、マニュファクチャラーズ選手権でも最大のライバルであるヒュンダイをリードしている。その差は27ポイントだ。