劣悪な労働環境に、安い給料……とブラック企業は中小にとどまらない。誰もが知る有名企業であってもブラック企業は存在する。キャリコネニュース読者からも「昼休みがない。昼休みを取ろうとするとそんな時間はないと怒鳴られる。一部上場企業がこんな体たらくだと思わなかった」(20代男性/営業職)といった報告が寄せられた。
今回は、上場企業勤務経験者から寄せられたブラック企業経験談を紹介する。(文:林加奈)
「営業終了後に朝の7時ころまで掃除をします。もちろんタイムカード打刻後です」
飲食店で働いていた20代女性は、自身の経験を次のように語る。
「残業代は毎月みなし残業代60時間がついていて、60時間以上の残業代はなし。実際には月100時間程度していました。残業60時間を超えるのなんて当たり前のことで、幹部の人たちも理解しているはずなのに、その残業代すら出ません。暗黙の了解で、勤怠も毎日13時に出勤しているのにタイムカードを押すのは15時。毎日帰るのは1時過ぎなのに、退勤の打刻は12時でした。しかも2か月に1回程度、営業終了後に朝の7時ころまで掃除をします。もちろんタイムカード打刻後です」
女性はその仕事に3年間耐えた末に退職した。当時の会社は有休も月8回の休みも取れていたので、他の飲食よりはマシだったかもしれないと振り返る。しかし、会社側は飲食業界全体がブラックだと言い、自分の会社はその中でもホワイトな方だと正当化していたという。「自分の会社もブラックなのに、他がもっとブラックだからと言って、正当化するのは違うと思うんですよね」と異議を唱えている。
建築・土木技術職の50代男性は、工事現場の現場監督をしていた。
「土曜祝日出勤は当たり前で、出勤8時、退勤夜中にもかかわらず、残業代は一律27時間、予算の厳しい工事は20時間しか支給されなかった。毎月の残業は軽く100時間を超えた。一級建築士を取得しても受験料の半額が支給されるだけで資格手当はなかった。これで一部上場だったのが信じられない」
他にも、スペックの低いパソコンで動画編集をさせられたり、CPU交換の際にかかった費用を経費として認めてもらえなかったりといった理不尽な経験もした。そのため、退職する際には元の能力が低いパソコンに戻したらなじられたという。退職後もその会社は「相変わらず人材を使い捨てている模様です」と語っている。
※キャリコネニュースでは引き続き「ブラック企業経験談」のほか【緊急募集】三度目の緊急事態宣言、あなたが思うことや現在困っていることを教えてくださいや共働き・片働きの不満などのアンケートを募集しています。