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ユナイテッドアローズが上場来初の赤字決算 デベロッパーには「一刻も早く営業を再開してもらいたい」

2021年05月10日 19:22  Fashionsnap.com

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ビューティ&ユース ユナイテッドアローズのロゴ Image by: FASHIONSNAP.COM
ユナイテッドアローズが発表した2021年3月期の通期連結業績が、1999年の上場以来初の赤字決算に沈んだ。2022年3月期は純利益17億5000万円を計画し、黒字転換を目指す。緊急事態宣言発出に伴い、東京都と大阪府では百貨店やショッピングセンターを含む大型施設への休業要請継続の方針が発表されたが、松崎善則社長は「デベロッパーの方々は、当社をはじめ小売の現状を理解してくれていると思っているので、一刻も早く営業を再開してもらいたい」と胸の内を明かした。

 2021年3月期の通期業績は売上高1217億1200万円(前期比22.7%減)、営業損益66億1300万円の赤字(前期は87億5800万円の黒字)、純損益は71億9700億円の赤字(同35億2200万円の黒字)だった。昨年4月に発出された1回目の緊急事態宣言で全店舗休業に伴う春夏商品の在庫消化のための値引き販売が影響し、売上総利益率が前期から5.6pt悪化して45.2%となった。既存店ベースのネット通販の売上高は前期比6.8%増加した。
 新型コロナウイルス感染拡大の収束の目処がつかないことから、2023年3月期を最終年度とした中期経営計画の営業利益を従来目標の90~100億円から70~80億円に引き下げ、今後2年間で135~145億円の改善を目指す。ビジネス需要の減少から引き続きカジュアル衣料の強化やオンライン接客、在庫プロジェクトなどの施策に取り組むほか、「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(UNITED ARROWS green label relaxing)」と「コーエン(coen)」の中間価格帯に位置するEC・カジュアル主体の新規ブランドと新しいウェルネスレーベルの立ち上げなどで収益向上を図る。自社インフラを使ったECサイトは来春にリニューアルを予定し、OMOを推進する考えだ。
 3回目の緊急事態宣言が4月25日に発出されたが、在庫はスタート時点でかなり絞れていたとして在庫過多にはならない見通し。しかし「ゴールデンウィークに販売を見込んでいた長袖などの商品群は販売機会を失ってしまった」(松崎社長)という。一部商品を除き、セールの前倒しは現状予定していない。例年、春物商品が占める売上の割合は大きくないことから、今回の緊急事態宣言の業績への影響は軽微とし、松崎社長は「夏のセールを経て秋冬の立ち上がりが順調に進めば、ある程度軌道に乗るのではないか」と見解を示した。一方で、下期に大半の利益を計上する計画であることから「秋冬に再び緊急事態宣言が出されると非常に厳しい」と語った。
■ユナイテッドアローズ 2022年3月期通期連結業績予想売上高:1248億円(前期比2.5%増)売上総利益:633億円(前期比15.0%増)営業利益:30億円純利益:17億5000万円