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『ONE PIECE』ナミがヨーロッパで大人気に? 「第1回 ONE PIECEキャラクター世界人気投票」を徹底分析

2021年05月08日 17:01  リアルサウンド

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 全世界の読者を対象に開催された『ONE PIECE』のキャラクター人気投票「第1回 ONE PIECEキャラクター世界人気投票」。総勢1174のキャラクターの中から世界一を決めるオンライン人気投票では、世界中から約1200万票超の投票が寄せられた。その最終順位が5月5日に発表されたが、麦わらの一味最初期のメンバー(1位ルフィ、2位ゾロ、3位ナミ)がトップ3を独占するという快挙、国と地域によって人気のキャラクターに明確な違いがあることなどが判明し、世界各国で大きな反響を呼んでいる。


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 「リアルサウンド ブック」では、ワンピース研究家として知られ多数のメディアで活躍する神木健児氏に、ランキングの見どころ、ランキング順位から浮かび上がってくるファンの思い、ランキングにおける地域差についてなど話を聞いた。


「総投票数1200万超。2017年に実施されたキャラクター人気投票は総投票数が約8万なので、今回の世界人気投票の規模は桁違いでした。加えて麦わらの一味最初期のメンバーである、ルフィ、ゾロ、ナミがトップ3を独占するなんて、まるで漫画のようなストーリーで感動的です。これは『ONE PIECE』ファン納得の結果だったのではないでしょうか」


 さらに、ランキングにおける意外性については次のように言及している。


「やはり、38万票以上の票を獲得し、8位にランクインしたキャロットはダークホースでした。日本のランキングでは24位だったのですが、海外では総じてまとまった票を獲得しており、北米では6位、オセアニアで4位と驚異的な人気を見せつけました。これは今までの人気投票でチョッパーに集中していた”可愛いキャラ票”がキャロットに一部流れたからかもしれません。今回チョッパーはランキング22位に沈んでしまい、いつものような存在感を示せなかった印象があります。前回の人気投票では7位でしたし、マスコットとしての愛着が海外の方にもあると想定していたのでもっと上位に食い込むかと思っていました。また、『ONE PIECE』公式YouTubeチャンネル内のオンライン特別番組「ONE PIECE TIMES ~WT100最終結果発表~」内で言及があったように、動物の仮装に親しみがある文化的背景がキャロットの得票数に繋がったのかもしれないですね。また、オセアニアではトップ4がナミ、ロビン、ヤマト、キャロットで女性キャラクターが上位を占めています。この要因はわからないですが、そういった私たち日本人とは違う、文化的要因や地域性が各国で現れているのが興味深いです」


 また、今回大躍進を果たしたナミの人気についても分析してもらった。


「過去6回の人気投票では5位~8位を行ったり来たりしていたナミが3位にランクインしました。中間発表でトップ10入りはしていたのですが、トップ3に食い込むとは思いませんでしたね。ナミが3位になったのは、今回の投票が「世界」人気投票という新しい試みだったからとも言えます。具体的にいうとこれは主にヨーロッパにおけるナミ人気の高さですね。ヨーロッパのナミの得票数は約35万で、ルフィの得票数(約17万)の倍以上の票を獲得しているんです。ヨーロッパでなぜこんなにもナミが人気なのか。分析は難しいですが、やはりナミが女性としての優しさ・強さ・美しさを兼ね揃えた理想的な女性キャラクターだからではないでしょうか。世界のファンのパワーが偶然にもTOP3を感動的な結果にしたと言っても過言ではないでしょう」


 さらに海外ファンがランキングに与えた大きな影響として、ワノ国編の人気は見逃せないようだ。


「海外ではワノ国編の人気が高いんです。やはり日本の文化を連想させる世界観や侍が登場するので、そういった日本的なものに興味があるファンに刺さるものがあるのでしょう。そう考えると、今回のおでんやヤマトの躍進ぶりにも納得です。ヤマトに関しては、おそらく今後の活躍への期待を込めファンが投票したことも一因としてあるのかもしれません。さらに言えばゾロの海外人気は目を見張るものがありました。得票数の推移を見るとゾロが1位になりそうな気配もありましたからね」


 また、麦わらの一味の主要メンバーにもかかわらず、ランキングで振るわなかったキャラクターにジンベエとフランキー挙げる。


「前回は6位にランクインしていたジンベエですが、麦わらの一味に仲間入りしたので、今回も高めの順位になるかと思いきや26位で、意外と伸びなかったのが残念です。またフランキーのイメージ国はアメリカなので、アメリカで票が伸びるかと思いきやあまり伸びませんでした。逆にイメージ国がトルコのドレークがトルコで2位、中東で9位というのは、地域性が出ていて面白いです。ルフィだったらブラジル、フランキーだったらアメリカというように、イメージ国というものが主要なキャラクターにはあるので、イメージ国の方は嬉しくて票を入れるということがあったのかもしれません」


 また第1回~6回、そして今回のキャラクター人気投票でも、1位を獲得したルフィの人気についても次のように分析している。


「ほかの漫画作品のランキングは主人公ではなく、二番手、三番手のキャラクターが1位になることも多い中で、『ONE PIECE』は主人公のルフィが7回にわたって全て1位を獲得している。やはりこれは、作者の尾田さんが描きたい物語が、各国の読者にちゃんと伝わっている結果だと思います。まもなく連載24年を迎え1000以上も魅力的なキャラクターがいる中で、トップを第1巻の表紙に描かれた初期メンバー3人が占めるというのは奇跡のようにも思えます。改めてONE PIECEという作品の凄さ、そして世界中から愛されている漫画なんだと肌で感じられる素晴らしい企画でした」


 今回の「第1回 ONE PIECEキャラクター世界人気投票」でトップ50にランクインしたキャラクター+αの書き下ろしイラストが「週刊少年ジャンプ」で発表されていることが決定している。これに関して神木氏は「おそらく『ONE PIECE』の日として知られる7月22日に公開されると睨んでいます(笑)」とのこと。その日を期待して待ちたい。