不安定な挙動に苦しんだ1週間前のポルトガルGPから一転、第4戦スペインGPの初日はホンダ製パワーユニット搭載の4台がトップ10に入る速さを見せた。レッドブル・ホンダの2台はマックス・フェルスタッペン9番手、セルジオ・ペレス10番手と上位の順位ではなかったが、ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは「各セクターをまとめ上げていけば」と、さほど心配しているようには見えない。
一方で「デプロイメント(回生エネルギーの使い方)でメルセデスに負けている」というフェルスタッペンの指摘については、「(全体的には)いい戦いができている」としつつも、「まだ追いつけ追い越せの段階であることに変わりはない」という見解だった。
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──カタロニア・サーキットはマシン性能を測る点で、ベンチマークとなるサーキットと言われます。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):パワーユニット的にはほぼトラブルフリーの初日でした。ただ1点だけ、角田(裕毅)選手の走行中に電源シャットオフの症状が出ました。コースをはみ出して、縁石に激しく乗ってフロア下をぶつけた直後でしたので、それとの因果関係を調べています。ただ衝撃が入ったら電源が落ちるという設定にはなっていませんから、徹底的に原因究明するつもりです。
──走行中に主電源が落ちたということですか?
田辺TD:はい。文字どおりのシャットダウンでした。
──惰性で復活したのですか?
田辺TD:惰性というか、時間が経って復活しました。エンジンが押し掛けでかかったみたいな、そういうこととは違います。
──初日とはいえ、トップ10内に4台が入りました。
田辺TD:レッドブルの2台はちょっとよろしくない順位でしたが、ドライバーのコメントはふたりとも前向きです。各セクターをまとめ上げていけば、悪くないのかなと。
──フェルスタッペンが、「デプロイメントに関してはメルセデスに負けている」と発言していました。ただ開幕戦のバーレーンでは、逆にホンダが優れていた印象です。実際にはどうなのでしょうか。
田辺TD:各グランプリのコース特性、回生エネルギーの使い方などで当然変わってくるわけです。マックス(フェルスタッペン)とはこの件でまだ話していないので、これから詳細を聞いてみて、必要ならデータ解析をしてみるつもりです。
──ドラッグ量などでも、変わってくるわけですね。
田辺TD:ええ。言い訳ではないですが、あくまでマシンパッケージとしての(総体の)問題ですから。メルセデスも2台でダウンフォースを変えたりしている。ただ言えるのは、相手がどんなセッティングで来ようが、完全に我々のパワーユニットがライバルを凌駕している、そんなレベルに到達することを目指して、開発を続けていますから。
──言い換えればセッティングの違いやコース特性でドライバーの感じ方が変わる程度に、メルセデスとホンダのデプロイメント性能は拮抗しているとも言えますか?
田辺TD:開幕から3戦やってきて、それなりにいい戦いができていると思っています。ただし、まだ追いつけ追い越せの段階であることに変わりはない。いい戦いはできていますが、まだまだだと思っています。