2021年度は始まったばかりではあるものの、すでにベンチャー企業だと2022年卒の採用活動は終盤を迎えています。まだ内定をもらっていない就活生だと、焦りを感じている人も多いかと思います。
中には、すでに「2022年卒は諦めて2023年卒で就活をやり直す」ということを視野に入れている人もいるようです。しかし、就職浪人・留年(以下、就浪)をしたら、次の就活にどのような影響を与えるのでしょうか。(文:キャリアコンサルタント 渡邉元士)
まず「なぜ1回目の就活が上手くいかなかったのか」を考える
就浪を考える人にとって、一番気になるのが「就浪は不利なのか」。この点については、結論「人による」となります。その線引となるのは「1回目の就活を活かせているかどうか」です。
2回目の就活の面接では、必ずと言っていいほど「なぜ1回目の就活が上手くいかなったのか」を聞かれます。その際、原因を述べ、どのような手を打ったのかを明確に述べなければいけません。
ここで曖昧な回答をしてしまうと「前回と何も変わっていない」と思われ、就浪は100%不利に働きます。一方、きちんと対策を立てて行動している場合は、「PDCAを回すことができる人」と判断され、1回目よりも良い結果になる傾向にあります。
就浪者を50人近く見てきましたが、原因を整理すると、大きく3つに分けられます。
1つ目は「自分の軸に合っていない企業を受けていた」。なんとなく知名度の高い大手企業ばかり受けていた人にありがちなケースです。
就活に対する自分の軸が明確になっていない、軸と合う企業がないと思ってしまう等から、知っている企業を"とりあえず"受けている人に多いです。面接で「なぜこの企業を志望するのか」を明確に話せず落ちてしまうということは、"戦う場所を間違えた"といえます。
2つ目は「学生時代に力を入れたもの、通称"ガクチカ"が弱かった」。言葉の通り、学生時代にこれと言って頑張ったと言い切れるものがないと本人も自覚していることが多いです。"武器が弱かった"人です。多くの場合、これら2点が原因です。
3つ目は「面接が上手くいかなかった」です。"武器を使いこなせなかった"という人です。ただし、このケースは非常に稀です。というのも、自分の軸と合致する企業で、自信を持って話せるガクチカがあれば、面接でのアウトプットが少々荒削りだったとしても、内定ゼロにはなりにくいからです。
この場合、人事やリクルーターが思考の整理やアウトプットの練習をしてくれる等、周りのサポートが入ることが多いです。
内定ゼロ→大手有名企業など複数社から内定を貰えるようになるには
では、どのような人だと就浪が上手くいくのでしょうか。内定ゼロから就浪を経て、大手有名人材系企業や急成長ベンチャーなど複数社から内定を獲得したAさんのケースを紹介します。
Aさんは「ガクチカが弱い」ことが原因だと考え、かなりハードなベンチャー企業で長期インターンを始めました。当初は苦戦をしましたが、何とか食らいつき、周りのサポートも受けながら実績を作りました。また、成果を生み出すスタンスも身に着けることが出来ました。
さらに自己分析も丁寧に行い、軸に合った企業に絞ってエントリーをした結果、選考を受けた企業の3分の1から内定をもらうことが出来ました。
一方、Bさんは「自分の軸に合っていない企業を受けていた」人です。自分の中に軸はあるものの自己分析を怠り、漠然とした憧れから、多くの就活生が惹かれる人気業界を中心に受けていました。
その結果、内定がもらえたのは志望度が非常に低い1社のみ。既卒で就活をやり直すことにしました。まずは2~3か月ほどかけてじっくりと自己分析を行い、内在化されていた軸を言語化していきました。
その後は、「1回目の就活の失敗」「ガクチカ」「自分の軸」について面接でしっかりと話せるように準備し、軸に合った企業を受けていきました。すると、第一志望の企業から来年度の採用枠で内定をもらうことが出来ました。
ちなみにBさんは、その企業から「大学卒業と同時に就職して良い」と言われ、来年度枠ではなくそのまま大学卒業と同時に就職することが出来ました。
ファーストキャリアは、その後の人生に大きく影響を与えるものです。簡単なことではありませんが、数か月の頑張りで、それをより良いものに変えられるチャンスになります。就浪をするならぜひ振り返りを丁寧に行い、解決策を実行していってください。
【プロフィール】関西学院大学商学部卒。在学中に創業期のキャリア教育系スタートアップ(株)STORYに参画。採用責任者として、約400人の面接・約50人の採用に携わる。その後、ベンチャー複数社にて新卒採用、EdTech・人材サービスの立ち上げを経験。2020年9月より(株)STORY CAREERにてキャリアアドバイザーとして活動。