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『ゆるキャン△』『スーパーカブ』『ダンベル何キロ持てる?』……「女子高生×趣味」漫画の魅力とは?

2021年05月04日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 漫画やアニメには、様々なジャンルを掛け合わせた作品が存在する。そして令和も3年目を迎えた現代、数々のヒット作を生み出すジャンルが「女子高生×趣味」の作品だ。アニメ化だけでなく実写映画化やドラマ化も果たした、「女子高生×キャンプ」の『ゆるキャン△』。2021年春からアニメが放送されている、「女子高生×カブ」の『スーパーカブ』。なぜ“女子高生”に1つのテーマを掛け合わせた作品は、視聴者を掴んで離さないのか。そこには熱血スポ根作品や恋愛作品とは一線を画す、女子高生らしさを活かした魅力が隠されていた。


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■「女子高生×趣味」を描いた作品の主人公の共通点


 キャンプ(『ゆるキャン△』)、釣り(『放課後ていぼう日誌』)、筋トレ(『ダンベル何キロ持てる?』)、バイク(『スーパーカブ』)など、様々なテーマを扱う女子高生を主役とした作品。上記の4作品は全てアニメ化を果たしており、その他にも趣味に熱中する女子高生を描いた作品は数多く存在する。


 そして「女子高生×趣味」を描いた作品の主人公には、ある共通点がある。それは彼女たちが”初心者”として描かれている点だ。


 2021年1月に待望のアニメ第2期が放送された『ゆるキャン△』。物語はソロキャンプを行う女子高生・志摩リンが、寝過ごし慌てふためく少女・各務原なでしこと出会う場面から始まる。引っ越してきたばかりで、右も左も分からないと涙を浮かべるなでしこ。リンは泣きながらお腹を鳴らすなでしこに、カップラーメンを振る舞う。そして寒空の下で食べるカップラーメンやキャンプ場での絶景に、なでしこは感動の表情を見せる。その後姉の迎えで帰宅したなでしこは、リンに自身の電話番号を書いた紙を手渡した。そしてキャンプ場での絶景が忘れられないなでしこは、学校でのリンとの再会や野外活動サークルでの活動を経て、徐々にキャンプの世界へのめり込んでいく。


 友との青春を謳歌する華の女子高生に、キャンプや釣り、バイクなどのイメージは結び付きづらいだろう。しかしそれは女子高生とイメージ上で交わりにくい要素を彼女達に掛け合わせれば、創造上では違和感無く”素人主人公”を生み出せるということにもなる。『ゆるキャン』の主人公であるなでしこは、物語開始当初キャンプに関してズブの素人であった。そしてもう1人の主人公であるリンとの出会いをきっかけに、なでしこはキャンプのノウハウを身につけていくことになる。本作は女子高生が主人公である青春漫画でありながら、キャンプについて学ぶことができる漫画でもある。


 主人公を初心者として描くことにより、彼女の成長に応じたキャンプの知識を自然と作品内に折り込めるのだ。また「釣り」「筋トレ」「カブ(原付)」など女子高生と結び付きづらいテーマを扱うことで、ギャップも演出できる。趣味を扱う作品の場合、新発見が多く楽しく打ち込む姿は微笑ましい“女子高生”が、登場人物としてうってつけなのである。


 そして「女子高生×趣味」で、その特性が特に発揮されている作品。それが2016年から小学館のコミックアプリ「マンガワン」や漫画配信サイト「裏サンデー」にて連載中の、『ダンベル何キロ持てる?』だ。


 趣味である放課後の食べ歩きに興じる女子高生・紗倉ひびきは、一緒に帰る友人の「また太った?」という一言に戰慄する。自宅に帰り体重計に乗った後、再度戰慄するひびき。遂にダイエットを決心した彼女は、駅前に新しく設立した「シルバーマンジム」に入会することに。才色兼備のお嬢様・奏流院朱美と鉢合ったひびきは、ジムの中でとんでもない光景を目にする。それは目をギラギラと輝かせこれでもかと負荷を掛け筋トレをする、屈強な男たちの姿だった。シルバーマンジムはボディビルダーや格闘家が通う、ガチのトレーニングジムだったのだ。ひびきが適当な理由を付けて帰ろうと話すも、朱美は目にハートを浮かべ息を荒くしている。“筋肉フェチかよッ!!”とツッコミを入れるひびき。彼女はこれをきっかけに、筋トレの世界に足を踏み入れるのであった。


 本作は上に記した要素を全て含んでいる作品である。主人公のひびきは筋トレに関して完全なる素人だ。そして準ヒロインである奏流院は、筋肉と運動が大好きなキャラクターである。作中では奏流院やトレーナーがひびきに教える形で、細かい筋トレ知識を描く場面が随所に散りばめられていた。また世の中の人間の多くが、女子高生に筋力トレーニングのイメージを持っていないだろう。よって「女子高生×筋トレ」には作品を盛り上げるギャップと真新しさがある。そのため『ダンベル何キロ持てる?』は漫画好きでも筋トレ好きでも楽しめる作品になっているのだ。


 数々の名作を生み出す「女子高生×趣味」の作品。このジャンルには「女子高生のイメージ」「ギャップ」「真新しさ」を活かした、作り手の工夫が随所に散りばめられている。常にトレンドに寄り添い、ムーブメントをを生み出す女子高生。やはり時代の最先端はいつの時代も彼女達なのかもしれない。