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【漫画】3歩歩くと何かひとつを忘れる少年の恋模様に胸キュン! Twitterで話題の漫画はどのように生まれた?

2021年05月03日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『3歩歩くと何かひとつを忘れる少年』

 高校生の一紡くんと、同じクラスの日和子(ひよこ)さんの心の交流を描いた『3歩歩くと何かひとつを忘れる少年』。3歩歩くと何かひとつを忘れてしまうという設定と青春の甘酸っぱさが凝縮されたストーリーが話題を呼び、Twitter上には多くのコメントが寄せられている。


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 作者のカワバタオ(@kawabatao_wo)さんは現在、商業誌での連載を目指す漫画家だ。「リアルサウンド ブック」では本作着想のきっかけ、作品の見どころ、学園漫画を描く理由、今後描いてみたい漫画についてなど話を聞いた。


ーーいつ頃から漫画を描き始めるようになりましたか?


カワバタオ:漫画は元から好きで、小学生の時から自由帳に漫画を描いたりしていました。プロを目指して商業誌に持ち込んだりし始めたのは大学4年生の頃です。就職活動をしたくなかったんですね(笑)。そこで自分にできることはなんだろうと考えるようになり、改めて漫画を描き始めました。その後小学館さんとご縁があり、現在は担当編集さんと一緒に商業誌での連載を目標に頑張っています。


ーー『3歩歩くと何かひとつを忘れる少年』のような学園漫画を描く理由はなんですか?


カワバタオ:元々『あたしンち』のような、日常にある何気ない面白さを切り取る漫画が好きで、そういう作品を描ける漫画家を目指しています。そのうえで自分の強みを考えた時、青春における男女の甘酸っぱさを描くことが得意なのかなと思い、学園漫画を描くようになりました。


ーーそれは実体験も交えて?


カワバタオ:『3歩歩くと何かひとつを忘れる少年』もそうですけど、日常の言葉から着想を得ることが多いんです。今回で言うと「3歩歩くと一つ忘れる」ーーニワトリですね。この作品は言葉自体の面白さと、自分自身が忘れっぽいので、ヒロインの日和子(ひよこ)さんに関してもこういう子が近くにいたらいいなという願望を込めて描いています。


ーー主人公の一紡(いちぼう)くんとヒロインの日和子さん二人の関係性が甘酸っぱくて素敵ですね。工夫したコマやお気に入りのシーンはありますか?


カワバタオ:会話劇中心だと座っているシーンが多くなってしまい、動きが少なくなってしまうので、絵としての楽しさを意識しました。日和子さんが一紡くんに「ちょっとやそっとじゃ忘れないよ」と言われて、驚くシーンがあるんですが、持っていたタコさんウィンナーを落としてしまうんですね。そういった細かい描写で、絵としての面白さが伝わればいいなと思っています。


ーー 一紡くんとお母さんとの過去エピソードがあったり、気持ちの移り変わりや、心の機微が丁寧に描かれていて、キャラクターの魅力がよく伝わってきます。


カワバタオ:人の性格は過去の積み重ねで作られるというのが、自分の実感としてあるので、主人公の過去を描くことは大事にしています。必ずしもいいことばかりではなく、トラウマもあるかもしれないと考え、そういう一面を描くことによって、主人公の気持ちに感情移入してほしかったんです。


ーー意識的にバックグラウンド描いているんですね。作品を描くなかで苦労したことはありますか?


カワバタオ:やはり座っているシーンが多くなってしまうなかで、絵としての楽しさをどう演出するかが大変でした。あとは最初のインパクトというか、Twitter漫画は最初の4ページで読むかどうか判断してしまうと思うので、掴みを大事にしましたね。最初の数ページでどんなキャラクターかわからないまま話が進んでいってしまうと、読み手も誰が何をしているかわからない部分があると思うので。


ーー読者の方の反響はいかがでしたか?


カワバタオ:漫画を描くことは孤独な作業なので、自分で描いていて「これって面白いのかな?」と思ってしまう時もあります。そうしていざ世に出してみた時に、「面白かったです!」とか「いい話でした」と言ってもらえた時に初めて「描いてよかった!」と思えるんです。なのでコメントはあればあるほど嬉しいですね。一番印象に残ったコメントがあって「これは優しい人にしか描けない物語です」とコメントしてもらえた時、自分がそんな優しい人間かどうかわからないんですけど、作品を通して作家の部分まで見てもらえたのは嬉しかったですね。


ーー今後描いてみたい漫画はありますか?


カワバタオ:今はボーイミーツガールのような、男女の交流を描くことが多いのですが、今後は少し方向性を変えて、男同士の友情や部活動など、青春の題材の中でもまだ描いていないジャンルを描いていきたいですね。