第3戦ポルトガルGP予選で、レッドブル・ホンダのセルジオ・ペレスはマックス・フェルスタッペンと並ぶ2列目グリッドを獲得した。「4番グリッドという結果自体は、悪くなかったと思っている」と、予選後のリモート取材で答えたペレスだが、その表情はとても満足しているようには見えない。
「車体からもタイヤからも、100%の性能を引き出せなかったことにモヤモヤしている」と振り返るペレスからは、レッドブルの助っ人としての役割を十分果たせない苛立ちとともに、「自分の真価は、こんなものじゃない」という強烈な自負も感じられた。
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──フロントロウを獲得した前戦イモラほどではなかったですが、今週末も安定した速さを発揮できているのではないですか?
セルジオ・ペレス(以下、ペレス):(考え込みながら)う~ん、いや初日から今日にかけての自分の進化には、決して満足できていない。FP3のタイムが初日FP1とあまり変わらないって、ありえないよね。
──原因は何でしょうか?
ペレス:とにかくグリップがない。すごくトリッキーなコースだよね。路面のグリップもないし、風も強かった。なので思い切って攻めることは、なかなかできなかった。それでもQ3最後のアタックはかなりいい感じで行けていたのだけど、最終区間で失速してしまった。もしかしたらミディアムタイヤが正解だったかもしれない。
──フロントロウをメルセデスに独占されたとはいえ、レッドブルも3、4番グリッドにいます。少なくとも2対2の戦いがレースでできるわけで、これは昨年までとは違うポジティブな要因では?
ペレス:そこは最低限の義務というか。チームからの僕への期待も、そこにあるわけだし。4番グリッドという結果自体は、悪くなかったと思っている。車体からもタイヤからも、100%の性能を引き出せなかったことにモヤモヤしてるんだ。何が悪かったのか、これからエンジニアと分析するよ。
──思い切って攻められなかったとのことですが、過去2戦と比べても特にそうだったのですか? 今週末のコースコンディションが大きな要因ですか?
ペレス:今回が、特にひどかったね。バーレーンはレッドブルでの初レースということもあって、当然マシンに慣れていなかった。イモラはサーキットの難易度はすごく高かったけど、でも予選まではかなりうまくやれていた。順調な進化が実感できたんだ。
それがここでは、何かがおかしい。なにか根本的に、足りないものがあると感じる。特にタイヤに関してね。なぜあそこまで、ソフトタイヤのグリップを引き出せなかったのか。考えられるすべてを試した。直前のタイヤの温め方を変えたり、すべてやってみた。でも何もうまくいかなかった。
ただライバルたちをみても、ミディアムで最後のアタックに出て行ったメルセデスの2台も、結果的にタイムを更新できなかった。本当に、よくわからないサーキットだよね。(技術規約変更で)昨年よりダウンフォースが減ったことが大きく影響していることは確かだね。タイヤも、昨年よりひどくなっているんじゃないかな。
──かなり欲求不満になる気持ちはわかりますが、フェルスタッペンとの予選一発の差は確実に縮まっています。そこは素直に、自分を褒めるべきでは?
ペレス:マックスと互角の速さを見せられてるのは、僕も嬉しいよ。さっきも言ったように、チームもそれを望んでるわけだしね。でも今週末に関していえば、自分の走りには満足できていない。もっとやれるはずだという思いがあるからね。ただ、これがシーズン終盤だったら絶望的だけど、幸いそうじゃない。レッドブルのマシンは、今までとは違うドライビングスタイルを要求するクルマなんだ。それは十分承知しているし、他の移籍したドライバーたちに比べると、けっこううまくやれているんじゃないかな。