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少年忍者・織山尚大、愛と倫理の狭間で揺れ動く 泉鏡花の恋愛劇が実写ドラマ化

2021年05月01日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

少年忍者・織山尚大、愛と倫理の狭間で揺れ動く

 泉鏡花の「外科室」を原案にしたドラマが「WOWOWオリジナルドラマ『文豪少年! ~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~』にて少年忍者 織山尚大主演で5月2日に放送・配信される。


 『文豪少年!』はジャニーズJr.の人気ユニット「少年忍者」から精鋭12名を主演に迎え、日本文学を代表する文豪たちの小説を新たな切り口で映像化する、一話完結のオムニバスドラマだ。


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 舞台は町の片隅にある小さなブックカフェ。この店では訪れる少年たちの抱える悩みやためらいに合わせて、未来を拓くための一冊が用意される。少年たちがカフェのマスターに手渡された本をめくってみると、彼らだけの物語の世界が始まる――。


 第七話「外科室のある洋館」で原作となるのは、泉鏡花の出世作である「外科室」。


 1873年に石川県金沢市で生まれた泉鏡花は、小説家を志して18歳で上京。尾崎紅葉に師事し、玄関番をしながら小説修行をする。1895年に「夜行巡査」「外科室」を発表。この2作が貧富の拡大する社会における矛盾を炙り出す「観念小説」の佳作として評価され、世に出るきっかけとなる。その後、妖怪趣味や怪異現象を取り入れた作風へと変化していき、代表作「高野聖」で作家としての地位を確立する。


 「外科室」は、階級の異なる男女の悲劇的な恋愛を描いた小説だ。


 その日は、大病を患う貴船(きふね)伯爵夫人の外科手術が行われる予定だった。だが夫人は手術台の上で、うわごとを言うのが嫌だからと麻酔を拒否する。仕方なく麻酔無しでの手術を認めた執刀医の医学士・高峰は、夫人の胸をメスで割いていく。


〈痛みますか〉〈いいえ、あなただから、あなただから〉〈でも、あなたは、あなたは、私を知りますまい!〉〈忘れません〉


 悲運の恋人同士のようなやりとりをする二人に、かつて何があったのか?


 今回は物語の舞台を現代に移し、究極の初恋物語を美しい映像で描く。主演を務めるのは、織山尚大。先輩の松本潤にも一目置かれているダンスの腕前を持ち、昨年はミュージカルに初出演も果たしている。実は大の小説好きで、自粛期間は昼も夜も読書していたという。そんな彼が愛と倫理の狭間で揺れ動く少年を演じる中で意識したと語る、原作でもクライマックスで重要な要素となる「呼吸」。これに注目しながら見ることをお勧めしたい。


(文=藤井勉)