トップへ

チャイナタウン化の進む「西川口」は"観光地"になり得るか 「現在は中国人が作って中国人が食べる場所」と識者

2021年05月01日 06:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

近年、チャイナタウン化が進んでいる「西川口」。京浜東北線赤羽駅から2駅先、川口駅と蕨駅の間にある埼玉県川口市に位置する駅だ。一歩足を踏み入れると中国語の看板が目立ち、埼玉にいながら異国情緒を感じることができる。

ネット上でしばしば"現地の味を楽しみたいなら西川口へ"と話題になるが、実際どんな街なのか。西川口駅東口側は、川口オートレース場への無料送迎バス乗り場があるものの、東武ストアなどもあり静かな住宅地となっている。一方、西口側は風俗店が軒を連ねている。

鉄道事情にも詳しい恋愛コンサルタントの鈴木リュウさんは「西川口は元々、風俗街として有名でしたが、200店舗あった違法風俗店は一斉摘発で営業停止に。その影響で2006年ごろから街並みが大きく変化しました」と話す。

最近は日本人を集客しようとするお店も

現在も風俗店はあるものの、違法風俗店は軒並み閉店。一時はゴーストタウン化した。

「今まで西川口はボートレースで勝った人が飲んで、そのまま風俗に流れるという『飲む打つ買う』ができる街でした。しかし風俗店閉店で、飲むこともなくなって飲食店も激減。数年は空き家が目立ち増したが、そういった状況の中で増えたのが中国人住人です」

西川口の家賃相場はワンルームで5万7000円。赤羽が7万8800円、池袋が8万7300円と考えると破格だ。元々風俗街のある地域は住む場所としては人気がない。しかし、繁華街で家賃が安い街というのは外国人にとっては住みやすい。

「西川口に隣接する蕨市はクルド人や韓国人、インド人などが多いエリアです。なので外国の人も引っ越して来やすい環境。2010年ごろには中国人が営む店も増えました。ただ、中国人店員が作って、中国人が食べる飲食店です。今では70軒ほどありますね」

横浜の中華街が観光客など外部向けのチャイナタウンなら、西川口は"現地の人が食べる現地料理"を提供している中国人が生活するための場所だ。その中でも、最近は日本人を集客しようとするお店もある。

「おすすめは『小城』。羊の足の丸焼きやザリガニの麻辣炒めなど本場料理を、日本人好みの味付けで提供しています」

"文化的コミュニケーションのギャップ"でトラブルも

最近は外国人ばかりになってしまった西川口だが、鈴木さんは「特に東口側は独身男性におすすめの街です」と話す。東京へのアクセスも良好で、駅前に商業施設も集中している。川口市に住むなら、隣の川口駅よりも安い家賃で西川口駅チカに住むのも手だろう。

「特に新卒1~2年目の男性にとっては住みやすいのではないでしょうか。テレワーク民で生活費を抑えたい人には勧めたいですね。西口側はアウェー感が強いかもしれませんが、東口側は日本人も多いです」

西川口の治安事情も昨今で変化している。違法風俗店が営業していた頃は、それこそ黒塗りのベンツが並んでいた。しかし現在問題になっているのは、"文化的コミュニケーションのギャップ"によるトラブルだ。

「現地の人が増えたので街では中国語が飛び交っています。中国にはゴミをきちんと捨てる習慣がないので、家庭用ゴミと事業用ゴミを一緒に出すなどゴミ捨てルールを理解していない人もいます」

中には、率先して路上ゴミ拾い運動を行う中国料理店の経営者もいるというが、なかなかカオスな状況であることがうかがえる。

現在は中国人向けスーパーも増え、外国人がさらに集まりやすい場所になっている。鈴木さんは「今後、よりその人口は増えるのではないでしょうか」と話す。お互いの文化を尊重しながら暮らしていきたいものだ。