“世界三大レース”のひとつであるル・マン24時間レースで、通算5回のクラス優勝を果たしたコルベット・レーシングの偉大なレーサー、オリバー・ギャビンがプロレースからの引退を表明した。
48歳のギャビンは今週末、スパ・フランコルシャンで行われるWEC世界耐久選手権第1戦スパ6時間レースに、コルベット・レーシングのシボレー・コルベットC8.Rで参戦するが、このレースを最後に自身のプロレーサー活動にピリオドを打つことを29日に発表。彼は30年にわたったキャリアから退いた後、ヨーロッパで自身のドライビングアカデミー事業を立ち上げることを明らかにした。
コルベットとの関係が深いこのイギリス人ドライバーは、2020年のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権シーズン終了をもって、長きにわたって務めたコルベットのフルタイムドライバーから退いている。しかし今週末、ギャビンは彼にとって最後のレースとなるスパ6時間に出場するためコルベットに呼び戻された。
ふたたびコルベットC8.Rのコクピットに収まる彼は、5月1日に決勝が行われるレースでアントニオ・ガルシアとチームを組み、ポルシェとフェラーリを相手にLMGTEプロクラスを戦う。
「今日、僕はコルベット・レーシングでの204回目のイベントとなる今週末のレースが、プロのレーシングキャリアの最後になることを発表した」とギャビンは述べた。
「レースカーから降りた後、ドイツのボックスベルクに拠点を置きオリバー・ギャビン・ドライビングアカデミーを立ち上げ、新しい章を開く」
「12台のシボレー・コルベット スティングレイを注文していて、そこでもシボレーとコルベットとの20年間の関係が続くことをうれしく思う。10月のローンチに向けて準備を進めていくなかで、今後数カ月の間にさらに多くのことが予定されています」
「何でもそうだが、家族が一番大切です。過去30年以上にわたる彼らのサポートと、この新しい役割を前進させる上での彼らの支援には、いくら感謝してもしきれない」
ギャビンは、自身キャリアは1991年のブリティッシュ・フォーミュラ・ファーストシリーズや1995年のイギリスF3選手権での初期のシングルシータータイトルに始まり、長いレースキャリアからいくつかの思い出を持つことになると語った。
■ル・マンでの3連勝はキャリア最大のハイライト
その後、彼はベネトンF1チームのテストドライバーになり、1990年代後半にはスポーツカーレースへの挑戦を開始した。シボレーワークスであるコルベット・レーシングとギャビンの長い関係は2002年に始まり、ALMSアメリカン・ル・マン・シリーズでの4つのクラスタイトル、IMSAで1回のクラスタイトル、そして2002年、2004~06年、2015年のル・マンで成し遂げた計5回のクラス優勝につながっている。
また、彼の経歴にはセブリング12時間レース、プチ・ル・マン、デイトナ24時間レースでの勝利も含まれている。
「非常に幸運だった」と自身のキャリアを振りかえったギャビン。「僕はいくつかの素晴らしいチームとレースをした。F3にいたときはエデンブリッジ・レーシング、フォーミュラ・ファーストにいたときはフォルテックだ」
「しかし、僕の本当のキャリアを形作ってくれたのはコルベット・レーシングであることは間違いない。私がそこで一緒に働いた人々は素晴らしいエンジニアたちで、本当に素晴らしいグループだ」
「ゲイリー・プラット(コルベット・レーシングを運営するプラット・アンド・ミラーの創業者のひとり)と、長年プログラムマネージャーを務めていたダグ・フェハンがもたらしたのは家族的な雰囲気だった」
「長年のチームメイトであるトミー・ミルナー、ジョーダン・テイラー、大親友のアントニオ(・ガルシア)、ヤン・マグヌッセンなど最新世代のドライバーに至るまで、まさに家族のようだったよ」
「僕たちは多くの素晴らしい戦いと、たくさんの時間を過ごし、何度もル・マンに挑戦して一緒に何度も優勝する素晴らしい時間を過ごしてきた」
「プロドライブのアストンマーティンを相手にGT1カーで3連勝を飾り、ル・マンの表彰台の最上段に立ったことは僕のキャリア最大のハイライトであると言えるだろう」
「ル・マンでの5回目の勝利は非常に特別なもので、C7.Rをドライブしてジョーダンとトミーと一緒にそれを獲得したんだ」
「たくさんの素晴らしい思い出がある。僕はそれら大切にするとともにオリバー・ギャビン・ドライビングアカデミーで伝えていきたい考えている。また、それらの経験をお客さまと共有し、情熱を伝えていきたいと思っているんだ」