「奨学金は借金」という自覚を持って利用する学生は、一体どのくらいいるのだろうか。先々の生活まで見据えたうえで計画的に奨学金を利用し、難なく返済している人がいる一方で、毎月の高額な返済にあえぐ人も少なくない。愛知県の30代女性は個人事業主をしているが、
「コロナ禍の影響が大きく、奨学金の返済が厳しい」
と嘆く。女性の年収は250万円ほどで、そのなかから毎月1万3500円を奨学金返済にあてている状況だ。今の女性には、年間16万円ほどの返済ですら苦しい現実がある。確かに、コロナ禍は未曽有の事態で仕方のないところはあるが、長い人生、何があるかは誰にもわからない。(文:大渕ともみ)
「専業主婦をしているため、主人の給料から支払っている」
奨学金の返済を配偶者に頼る人もいる。都内の20代女性は総額720万円の奨学金を借り、学校を卒業した。毎月の返済額は3万円以上に及ぶが、
「専業主婦をしているため、主人の給料から支払っている。困るほどの金額ではないが、『これがなければな』と思うときはある」
と明かす。学生時代は、自分が専業主婦になるとは思わなかったのかもしれない。
IT・通信系の企業に勤める30代女性(東京都/正社員/年収250万円)は、「私は結婚できたからよかった」と安堵する。
「借りたものだから返すけど、なかなかしんどいなと感じる。奨学金が残っていると、結婚を許してくれない親もいるみたいで、そうなるとつらかったと思う」
奨学金の残債のせいで結婚が叶わないとなれば、人生設計も変更せざるを得なかったはずだ。女性は「旦那は若いうちに繰り上げ返済したみたい。私はこれからもコツコツ働いて返していくつもり」と綴り、今もなお毎月1万6000円を返済し続けている。
「一人暮らしのときは返済がつらく、なかなか貯金が増えませんでした」
広島県に住む20代の既婚女性(その他/正社員/年収350万円)は、必要な金額よりも少し多めの奨学金を借りた。その総額は385万円だ。毎月1万6000円を返済中で、「もっと少なく借りるか、使い切らずにためておけばよかったです」と後悔する。一方で、
「一人暮らしのときは返済がつらく、なかなか貯金が増えませんでした。でも、結婚してからは主人が家計の大半を負担してくれているので、十分貯金ができるようになりました」
と喜ぶ。もし結婚していなかったら、女性はいまだに苦しい生活を強いられていたかもしれない。
奨学金を利用し、自分で学費を払うのはよい心がけだ。しかし、卒業後に自力で返していけるのか、よく考えたうえで借入額を検討する必要があるだろう。
※キャリコネニュースでは引き続き「奨学金返済中の人」
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