トップへ

VRゴルフ、レンタサイクル、寿司ロボット……実現した『こち亀』のビジネスアイデアたち

2021年04月29日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 日本が誇る不滅のギャグ漫画、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。笑いあり、涙ありの内容で、高い評価を受けているのが、その先見性である。漫画で登場したアイデアが、その後現実のものになったケースは極めて多い。今回はそんな「現実になったビジネス」を検証したい。


シミュレーションゴルフ

 中川の系列会社が開発したというスポーツビル。そこは、様々なスポーツが楽しめる娯楽施設だった。そのなかで登場したのが、現在のVRゴルフに似たシステムだ。


 両津がゴルフスイングブースに入ると、そこには巨大スクリーンが。そこにはコースが映っており、固定されたボールを打つと、コンピューターが衝撃の強さや角度を計算し、ボールが飛んでいく様子が表示される。また、風などにも影響を受ける。こうして実際にコースに出ているような感覚でプレーを楽しむことが出来る。


 開発担当は「現代のサラリーマンは忙しくてコースになかなかいけませんから、ここならコースのムードが味わえて上達しますよ」と胸を張った(50巻)


 このシステムは現在のシミュレーションゴルフそのもの。完全に実用化された技術と言っても、過言ではないだろう。


レンタサイクル

 中川とパトロール中、小さな自転車を見かけた両津は「なんだこりゃ、随分変わった自転車だな」と驚く。するとおじさんが登場し、「500円自転車の試作品だ」と声をかける。駅前に自動販売機を作り、「チャリンコポイ」という使い捨て自転車にする計画なのだという。


 両津はおじさんのチャリンコポイビジネスに乗り、販売部長として大々的に宣伝する。最終的に飽きられしまったものの、一時的なヒットを飛ばした。「使い捨て自転車」は登場していないが、お金を払って自転車に乗るシステムは、現在都内で流行中のレンタサイクルに通じるものがあった。(52巻)


寿司ビジネス

 両津がバイトする超神田寿司に来た下町のインチキ発明オヤジ、電極スパーク。彼が開発したのが、自動で寿司のシャリを握る寿司ロボット。自動的に、寿司のシャリが出てくるシステムで、「シャリが自動で出てくるので、職人はネタを乗せるだけでいい」と話す。


 漫画では「職人が握らなければ意味がない」と一蹴されてしまったが、現在では機械がシャリを作り、人間がネタを乗せる店も少なくない。この技術は、完全に現実化された。


 また、江戸前寿司自動握り販売機も開発。一定数食べるとルーレットが回り、当たると軍艦巻きをサービスで食べることができる。「寿司の自動販売機」は残念ながらナマモノということもあり普及していないが、冷凍寿司の自動販売機は存在する。


 さらに、別の回では両津が「外国人に好まれる寿司を考えた」と、持ってくるシーンも。そのなかには現在回転寿司店でポピュラーな天ぷら、ハンバーグなどが含まれていた。両津の寿司に関するアイデアは、先見性が極めて高く、現実化されている商品が多かった(125巻)


こち亀の影響を受けている?

 取り上げたいずれの技術も、登場した当初は「アイデアは面白いけど、無理だろうな」と思った読者が多かったものと思われる。現実化に尽力した人たちがこち亀を読んでいたかどうかは不明だが影響を受けた可能性もゼロではないだろう。