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イギリス空母クイーン・エリザベス アジアへの航海を前に「空の目」が到着

2021年04月29日 16:01  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

イギリス空母クイーン・エリザベス アジアへの航海を前に「空の目」が到着

 日本などアジア諸国訪問と共同訓練を含む、太平洋への初遠征任務航海を2021年5月に控えるイギリス海軍の空母クイーン・エリザベス。公開に向けた準備が着々と進む中、艦隊に対する脅威に対し「空の目」として空中で警戒・指揮するヘリコプター、マーリンMk2・クロウズネストが2021年4月17日(現地時間)、新たに加わりました。


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 空母を含む水上艦は、潜水艦だけでなく空からの脅威にさらされています。このためアメリカやフランスの空母では、E-2早期警戒機を保有し周辺空域の警戒・監視任務にあてていますが、イギリスの空母クイーン・エリザベスでこの役割を果たすのが、ヘリコプターの「マーリンMk2・クロウズネスト(Crowsnest=カラスの巣)」です。


 マーリンMk2・クロウズネストは、大型艦載ヘリコプターのマーリンMk2(アグスタウェストランドAW101)に強力なレーダーを搭載し、高度約2400mの上空から警戒監視と航空管制(ASaC)を実施するもの。胴体側面に取り付けられた、対空監視レーダーを収めた「バッグ(bag)」と呼ばれる黒いレドームが外見上の特徴で、レーダー動作時には胴体下面へと移動します。


 通常型のマーリンMk2と同じく、第820海軍飛行隊で運用されるマーリンMk2・クロウズネスト。2021年3月から、本運用に向けての訓練が重ねられてきました。


 訓練を終え、空母クイーン・エリザベスへの合流を果たしたマーリンMk2・クロウズネスト。第820海軍飛行隊長のイアン・ヴァーレイ中佐は「今日は記念すべき瞬間です。この日に向け、本当にたくさんの労力が費やされてきました」と語っています。


 艦隊におけるマーリンMk2・クロウズネストの重要性について、ヴァーレイ中佐は「私見を述べると、ASaC(空中早期警戒管制)能力を艦隊が取り戻すことで、以前のような状態になると思っています。私は最初に対潜ヘリコプターを飛ばしていましたが、同じくASaC機材として空中早期警戒機仕様のシーキング(シーキングAEW)にも乗っていました。それでシーハリアーとともに空母に乗り、世界中へ遠征したんです」と、自らの経験を重ねて語っています。


 空母クイーン・エリザベスには、早期警戒管制機仕様のマーリンMk2・クロウズネストが3機、通常の対潜哨戒機仕様のマーリンMk2が4機、計7機が搭載されます。


 空母クイーン・エリザベスを旗艦とする第21空母打撃群(CSG21)は、艦載機にイギリスのほかアメリカ海兵隊VMFA-211のF-35B、僚艦にオランダ海軍のフリゲート「エヴェルトセン(F805)」、アメリカ海軍の駆逐艦ザ・サリバンズ(DDG-68)を加え、5月からアジア太平洋方面への遠征任務に出発します。遠征中、日本や韓国、インド、シンガポールをはじめとする40か国に寄港し、フランスの空母シャルル・ド・ゴールなど各国の部隊と共同訓練を実施する予定です。


<出典・引用>
イギリス海軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright


(咲村珠樹)