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F1技術解説エミリア・ロマーニャGP編(2):戦闘力上げたメルセデスの新型ディフューザー

2021年04月28日 15:51  AUTOSPORT web

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2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGP バルテリ・ボッタス(メルセデス)
2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGPで各チームが走らせたマシンを、F1i.comの技術分野を担当するニコラス・カルペンティエルが観察、印象に残った変更等について解説する(全2回)。第2回ではメルセデスが導入した新しいディフューザーを取り上げる。

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 開幕戦のメルセデスは、予選でレッドブル・ホンダにコンマ4秒もの大差をつけられた。ところが3週間後の第2戦ではポールポジションを奪い返し、敗れたとはいえレースでも互角に戦える速さを披露した。1レースだけでチーム力を判断してしまうのがいかに愚かなことか、われわれは肝に銘じるべきであろう。

 ではメルセデスは今季も、レッドブル・ホンダをしのぐ最強のマシンなのだろうか。おそらく、そこまで言い切るのは早計であろう。ローレーキコンセプトのハンデキャップが、あまりに大きすぎるからである。イモラでのパフォーマンスは、コース特性がメルセデスマシンにより合っていたからだった。そしてルイス・ハミルトンがポールポジションを獲得できたのは、マックス・フェルスタッペンが区間ベストをまとめきれなかったからに他ならない。

 とはいえW12の戦闘力が上がったのは、紛れもない事実である。根本的なマシン改良ができないのなら、各サーキットに合わせたセッティングを煮詰めるしかない。開幕戦終了後、バルテリ・ボッタスは英国ブラックリーのファクトリーにこもり、「シミュレーターを操作しながら、何回セッティングを変えたことか。途中で数えるのはやめたよ」というぐらい、作業に集中した。

 それと並行し、メルセデス技術陣はイモラに新仕様のディフューザーを投入した。具体的にはストレーキと呼ばれる整流板に入っていた切り欠きが、イモラ仕様ではなくなっている(黄色矢印参照)。

 左右のストレーキが起こす渦流の良し悪しが、ディフューザーのダウンフォース量を大きく左右すると言ってもいい。メルセデスは今回の形状が、より効果的だと判断したのだろう。