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河童や天狗がステイホーム 緊急事態宣言うけ妖怪たちも自粛を決断

2021年04月27日 15:01  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

河童や天狗がステイホーム 緊急事態宣言うけ妖怪たちも自粛を決断

 いわゆる「第四波」と呼ばれる、新型コロナウイルス感染症の感染者数増加により、東京都・大阪府・京都府・兵庫県では、2021年4月25日から「緊急事態宣言」の期間にはいりました。


 ゴールデンウィークを間近に控えた中での三度目の発出ということもあり、当該地域では様々な対応が行われていますが、これに対応しているのは人だけではなく“妖怪”たちも同じくだったようです。


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 「緊急事態宣言発令のため、ガジロウも天狗も出没自粛中です。ごめんね」


 2枚の写真とともにTwitterにこう投稿しているのは、兵庫県神崎郡福崎町の“ゆるくないゆるキャラ”こと河童の「ガジロウさん」。


 ガジロウさんといえば、一目見たら夢にまで出てきそうなインパクト大な妖怪キャラ。JR福崎駅前に置かれた水槽や、辻川山公園の池でも姿がみられる(池から定期的にガジロウさん人形が出現する)ことから、今や福崎町が全国に誇る観光資源となっています。


 しかしながら、そんな福崎町のある兵庫県は、緊急事態宣言の対象地域。不要不急の外出を控えるアナウンスが流れている現状もあり、今回の宣言期間中(2021年4月25日~5月11日)は、街の妖怪たちも人間同様「ステイホーム期間」に移行することに。


 先述のJR福崎駅前におかれた水槽には、「ガジロウは出てきません」と記載された立て看板が置かれています。


 また、辻川山公園では、ガジロウさん以外にも様々な妖怪たちが住み着いていることから「河童も天狗も出て来ません」という表記の看板が設置されています。


 「でも、たかだが田舎の公園だし、そこまでする必要もないんじゃない?」と思われた方もいるのでは。実は辻川山公園は、ガジロウさん登場以前は、1日に30人ほどだった来園者が、弊社含む全国津々浦々のメディアに取り上げられた結果、現在は多い時で1000人を超えるほどになりました。


 福崎町全体の人口は約19000人(2021年2月1日福崎町発表「統計資料」より)。つまり現在のコロナ禍の情勢下で、辻川山公園に、人口の約5パーセント相当にあたる過去最高来園者数が殺到した場合、屋外とはいえど、感染リスクに繋がりかねないのです。


 そういった背景もあり、今回妖怪たちの対応にあたったのが福崎町地域振興課の小川さん。これまでにガジロウさんで様々な町おこしをしてきた人物です。その町おこしと相反する妖怪たちの活動“自粛”。


 「新型コロナ感染症対策本部から通達を受け、また宣言期間の長さもあり、総合的に判断して運転停止にすることにしました」と、苦渋の決断を語ってくれました。


 私事ですが、実は筆者は兵庫県在住者。緊急事態宣言期間にはいった現在の福崎町はどうなっているのか?妖怪たちの自粛を知り、訪れてる人は減っているのか?「JR福崎駅」と「辻川山公園」へ直接足を運び確認してみることに。


 すると、いずれについてもガラーンとした状態。まさに静寂と言っていいくらい。また辻川山公園内には、いたるところに今回の“自粛”看板が設置されていました。


 余談ですが、筆者が去年の夏、取材のため訪問した際は、平日日中の炎天下にもかかわらず、公園内には駐車場からあふれ出るほどの車がありました。それを見て、「あの福崎にこんな時代がやってくるとはなあ」と、感慨にふけったものです。



<取材協力>
兵庫県・福崎町地域振興課地域づくり係 小川知男氏
ガジロウさん(@youkaicon)


(向山純平)