「CHERRY AND VIRGIN」は女性に免疫がない32歳のエロマンガ家・遼と、腐女子で現実の男性にいい印象を持たない28歳の亜美が偶然出会い、他者と生きることの苦しさと愛おしさを知っていくラブストーリー。実写の映像素材をベースに作画していくロトスコープという手法で制作され、さらに実写、マンガの要素も取り入れられている。
監督を務めるのは2018年に短編アニメ映画「ある日本の絵描き少年」で第74回毎日映画コンクールの大藤信郎賞や、第23回文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門優秀賞など多数の映画賞を受賞した川尻将由。「CHERRY AND VIRGIN」は川尻監督にとって商業デビュー作であり、初の長編作品でもある。また遼役は大門嵩、亜美役は清瀬やえこが担当。2人は実写の映像素材の撮影に参加し、声優も務める。
また「CHERRY AND VIRGIN」の宣伝費などを募るクラウドファンディングが、本日4月27日にMotionGalleryでスタートした。目標金額は300万円に設定されており、支援額に応じたリターンとしてお礼メール、ステッカー、監督のサイン入り原画、劇場鑑賞券の贈呈、エンドロールへの名前の掲載、完成披露イベントへの招待が用意されている。なお「ある日本の絵描き少年」はYouTubeで全編公開中だ。
■ 川尻将由(監督)コメント アメリカのコミックには、所謂“アメコミ”と呼ばれるヒーローものを主体にしたジャンルと、『ゴーストワールド』や『アメリカン・スプレンダー』など人間ドラマを主軸にした成人向けのジャンル、“オルタナティブ・コミック”と呼ばれる、主流とは逸脱した作家性の強い作品群が存在します。(ガロ系といった方が話は早いかもしれません……) この企画『CHERRY AND VIRGIN』もまた決して日本のアニメの主流と呼べるものではありません。
主人公たちは可能性を秘めたキラキラしている10代の男女ではなく、疲れたアラサーであり、遅れてきた青春をつかもうとする姿は痛々しく滑稽で、同情と批判のいりまじる少し居心地の悪いドラマが続く作品です。
しかしその物語に内在する『男女の性差』『夢と現実』『自己実現と自己探求』といったテーマを語るための映像表現は、とても新鮮で豊かなものになっております。“キャラクター商売”でもなく“セルルック”のアニメでもなく、日本のアニメマナーから今最も逸脱した商業作品だと自負しています。ご興味ある方は、この日本で数少ない“オルタナティブ・アニメ”が完成するよう、是非ご助力お願い申し上げます。