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ビリヤニ、チキンマサラ、ポークビンダルー……本格インド料理を2ステップで? 画期的レシピに挑戦

2021年04月27日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 「作るの大変、食べるの一瞬」。そんなインド料理のイメージを2ステップレシピと驚きのレンチン工程で覆す、画期的なレシピ本が登場しました。その名も『だいたい1ステップか2ステップ! なのに本格インドカレー』(稲田俊輔/柴田書店)です。


 スパイスの調合から始まる調理を究極なまでに簡略化し、家庭向けに新たな軌道を敷いた著者・稲田さんは、南インド料理の有名店「エリックサウス」の創業者。カレーを知り尽くしたプロのレシピに従い、きちんと計量しステップに忠実に沿うだけで、もしかしたらお店が出せるんじゃないか?と勘違いできるレベルの絶品カレーが作れます。


 ここで料理のベースとなるパウダースパイスは「クミン」「ターメリック」「コリアンダー」「赤唐辛子」の入手しやすい4種。メニューによりガラムマサラやブラックペッパーなども加わりますが、身近な材料で、思い立ったら肩の力を抜いてサッと作れ、一度食べればヤミツキな味わいです。おかげで、我が家ではインドカレーが止まりません。さっそく、作った料理を紹介していきます。


関連:【写真】絶品ポークビンダルーなど


■帰ってきた鯖缶カレー(レンチンカレー)とベジタブルプラオ(レンチンライス)


 どこから帰ってきたのか?というと、前作『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分! 本格インドカレー』(稲田俊輔/柴田書店)です。同書のレシピのうち、最も簡単な部類に属した「鯖缶シンプルカレー」が、今回はより手軽にワンボウルと電子レンジで作れるレシピにパワーアップ!スパイスは基本の4種のみで作れます。


 カレーに合わせたベジタブルプラオは、ビリヤニよりサッパリした仕上がりのインド式炊き込みご飯。こちらもタッパーに材料を入れてレンジでチン、たった20分で炊き上がる、時短としても優れたレシピです。ライスを蒸らす間にカレーを仕込めば、忙しい時にも野菜込みで美味しいインド料理が食べられ、生まれた時間で一息つける。食事を経由した幸せへの近道を辿れる、大好きなセットです。


■ハイデラバード風チキンビリヤニ(レンチンビリヤニ)


 続いては、レンチン工程で昇天が約束された、極上ビリヤニです。指定の道具はどんぶり一丁。お分かりいただけるでしょうか? ラーメン丼にビリヤニの材料を入れていくという、国籍不明のシュールさを。


 しかし、チンして蒸らすと、れっきとしたチキンビリヤニの顔に!ここ掘れワンワンでバスマティ米をほじくり返すとしっとりチキンがゴロゴロ。家にいながらエリックサウス気分です。


 付け合わせには「つくおきスパイスおかず&つまみ」コーナーから「スパイシーアチャール」と「ごろごろライタ」をセレクト。どちらも「水アチャール」から簡単アレンジで展開できるナイスレシピです。


■魔性のレモンバターチキンマサラ(さらさらカレー)


 一般的なコッテリまったり甘~いバターチキンカレーとは一線を画す、レモンとヨーグルトのシャープな酸味が立つさらさらタイプのチキンカレーです。


 背後にチラ見えしているのはバゲット。


 レシピに添えられた稲田さんの「パンにもご飯にも危険なほどよく合います」というそそるコメントとバゲットの写真に誘われて、カレーをチョンと浸してみました。すると、ひと口でうまさを指す針がウィーンと上昇し、危うくバゲットを一本平らげそうに。バゲットの気泡はカレーのために存在するのではないか?と思わされるほど、相性バツグンです。


 こちらは2ステップレシピ。キッチンスケールに載せたフライパンに材料を計量しながら入れていき、フライパンで加熱するだけという、繰り返し作りたくなる手軽さです。


■万能キーマベースで! 絶品エスニックバーガーとソルティラッシー


 インドカレーはパンに合う。「万能キーマベース」のハンバーガーアレンジで、その気持ちは確信に至りました。ソースには、旨みがぎゅっと詰まった焼き汁を活用した「万能カレーソース」をタラリ。2つの万能がドッキングすると全能になる計算です。パクチーとシシトウが効いたパティが、グルメバーガー店顔負けのオリジナリティを放ちます。


 実はこの「万能キーマベース」も、フライパン上で計量したらそのまま加熱調理するだけ。洗い物は最小限に、旨さは最大限に行ける、夢うまレシピです。


 飲み物には、巻末の「スパイス料理にぴったり!ドリンク&スイーツ」コーナーの「ソルティラッシー」を合わせてみました。サラッとした喉越しでゴクゴクいけ、飲むライタのような塩気がボリューミーな食事にぴったりです。


■絶品ポークビンダルー(圧力鍋で)


 大の角煮好きとしては作らずにいられなかった、トロトロお肉のポークビンダルー。酢ベースのビンダルーペーストでマリネした豚バラブロック肉を、圧力鍋でホロホロに柔らかく煮込み、最後にソースをなめらかに潰したら出来上がりです。


 手が込んでいるように見えて、実はほったらかし時間が長く、意外なほど手間がかかりません。冷蔵庫でマリネしつつ寝かせる2日間、何度、お肉たちはどうしているか?と様子を見に行ったことか。結果、寝る子は美味しく育つことが舌でわかったのでした。


■ポイントは、レシピ通りにきっちり計量し、忠実に調理すること


 実際に何品か作ってみて感じたのは、各レシピの精度の高さ。このシンプルなスパイス構成から確実な美味しさを引き出すには、作り手がきっちり計量し、プロセスに忠実に調理することが大前提として求められます。そうすることで誰でも、稲田さんのレシピの再現性の高さをマックスに持っていけ、自宅でとびきり美味しいインド料理を満喫できるでしょう。読んで作るだけでみるみる「インド料理上手」になる、まさに魔法のような一冊。前書とセットで二冊買いするのもオススメですよ。


■大信トモコ
元Supersnazz、現在はTweezersとRock Juiceで活躍中のベーシスト/ライター/シュフです。趣味の料理本集めで見つけた、役立つ本を紹介します。