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【実はこんなに不安です!】育休からの復帰直前に、ワーママが抱えているモヤモヤとは?

2021年04月25日 11:21  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
●この春復職予定のワーママ二人が抱えるモヤモヤ
連載「ワーママのモヤモヤ整理します」は、託児付きランチサービス「ここるく」の経営者で、育休復帰・働き方改革のコンサルティングも手掛ける山下真実さんが、ワーママが抱えるモヤモヤに寄り添い、気持ちを整理していく企画です。

新しいことがスタートする春。育休を取得していた方々が職場復帰するシーズンでもありますね。そこで今回は特別編として、「育休復帰前・座談会」を開催。育休コミュニティ「MIRAIS」メンバーの中でもこの春復職を予定しているお二人を招いて、復帰前のモヤモヤについてお話しいただきました。
○【お悩み1】派遣社員としての復職に不安、今後のキャリアはどう作る?

お一人目は、産休に入る前まで、新聞社で派遣社員のライターをしていたかなでさん(35歳)。初めての出産を経て、春からも同じ職場で働く予定ですが、今後のキャリアについて、モヤモヤを抱えているといいます。

「派遣社員という立場での復職になるので、今後のキャリアに不安があります。現状、正社員として登用していただくことは難しそうで、3年後はまた違うお仕事を探さなければなりません」

メーカー勤務、フェアトレード関連の会社でアルバイト、地方での古民家再生、ライターと、職歴に統一性がないこともお悩みの一つなんだとか。

「職を転々としてきたので、一つのスキルに対して蓄積が少なく、派遣契約終了後、どういった仕事に就くべきなのかも見通しが立ちません。娘を同じ保育園に通わせ続けてあげたいので、3年後にはうまく転職したいと思っているのですが、まずは復職後、どのようなモチベーションで、どんな風に働いて、3年後に対して何をしていけばいいのか分からない状態です」

○【お悩み2】育休をきっかけに『これからも今の仕事でいいの?』とモヤモヤ

もうお一方は、産前、地方銀行の特定職として働いていたりょうこさん(31歳)。2人目のお子さんの出産を経て、この春一度は同じ職場に復職予定ですが、希望している職種につけるか未定で、今後のキャリアについて不安を感じてしまうといいます。

「産前は銀行で窓口対応をしており、やりがいも感じていましたし、自分に合っている仕事だと思っていました。しかし1人目出産後、復職してすぐに転勤、未経験だった外回りの営業を任されることになったんです。時短勤務でありながら、ノルマはフルタイム勤務の人と同じ、自分にとっては苦手でつらい仕事でした。今回も同じような状況になったらと考えると不安で……」

特定職という職種上、どんなに仕事をがんばっても出世の見込みは薄いこと、希望外の仕事をこれからもずっと任され続ける可能性があること、考えうる将来を頭に浮かべてはモヤモヤ……。

果てには転職も考えてみたそうですが、なかなか希望の職種の求人を紹介してもらえず、決めきれないといいます。

「福利厚生や給与面では銀行で働くことの優位性も感じているので、"子育てしながら働きやすい、この環境を手放してまでやりたい仕事はあるのか? 自分が我慢すればいいだけなのでは?"とも考えてしまいます」

お二人のモヤモヤを聞いて、山下さんが感じたことは……?(次ページへ)

●山下さん「『決断』さえできれば、将来の可能性は無限大!」
○山下さんからのアドバイスは……?

子どもの人生との兼ね合いの中で、自分の人生の方向性を"自分で決める"のは本当にしんどいこと。でも、状況に応じて生き方や働き方を変えられる時代、決断さえできれば、お二人の将来には希望しかない!

山下さん: 母親になる前であれば、働き方や生き方を自分の一存だけで決めることができていたけれど、"自分よりも子どもを優先したい"、"子どもを優先すべきなのではないか"という思いがあると、なかなか将来のキャリアを描きづらい……お二人ともそんな心境なのかもしれません。

ただ、『子持ち』『30代前半』という条件は、ご本人が思っていらっしゃるほど、キャリアにおける窮屈な制約ではないと私は考えています。昭和よりも、平成よりも、令和のこの時代は、いろんな選択肢が取りやすくなっています。転職するにも、起業するにも独立するにも、ご本人が望めば、今後のキャリアはなんとでもなるんです。

だからこそ、自分で取捨選択をしないと、前に進むことはできません。そして、決断さえできれば、お二人の将来には希望しかないと思います。

「お二人の将来は明るい!」と断言された山下さん。お二人それぞれに対しても、詳細なアドバイスを送りました(次ページへ)。

●お二人それぞれへのアドバイス
○【お悩み1へのアドバイス】今の経験を突き詰めて、スキルセットを強みに

山下さん: かなでさんは、職歴に統一性がないこと、スキルが積みあがっていないことに不安を感じていらっしゃいますが、スキルの組み合わせ、スキルセットは人と違うからこそ価値があるんです。独特なキャリア変遷、経験、スキルを大事にして自分自身の価値を高めていきましょう。

そのためには、たとえ職歴がバラバラでも、その時々で得られる経験を"受け身"ではなくとことん突き詰めていく必要があります。復職後も"どうせ3年後には終わる仕事なんだ"と考えるのではなく、"今のポジションや仕事の機会を今後にうまくいかせないか"と考えてみてはいかがでしょうか?

ユニークなキャリアをお持ちのかなでさんだからこそ持てる視点は、今後も強みになると思いますし、目の前のことを突き詰めることで、その後の選択も自然と、かなでさんらしくなっていくと思います。

かなでさん: 一つのスキルを積み上げてこなかったこと、今の自分の年齢をネガティブに捉えていましたが、確かに経験としてはこれまで確実に積んできているんですよね。"これが私の強みです"と胸を張って言えるように、ポジティブにこれまでのキャリアを棚卸ししてみたいと思います。
○【お悩み2へのアドバイス】自分の可能性に蓋をしないで

山下さん: りょうこさんのお仕事は数少ない安定雇用の職種ですし、福利厚生もしっかりしている業種だと思います。恵まれている部分もあるから、転職に二の足を踏んでしまう部分もあるのかもしれませんね。

りょうこさん: 転職したいという思いはあっても、私1人の選択が、私だけの選択ではなくなっているので、しんどくて。安定した生活、育児のしやすさ……家族のことを考えると、今の環境から逃げられないと思ってしまいます。

山下さん: 何が嫌で逃げたのか"をちゃんと自覚していれば、逃げることは決して悪いことではないと思います。つい目を背けたくなるかもしれませんが、何が嫌で、何を変えたかったのかを考えることが大切。逆にそれさえ出来ていれば、「これが自分の決断だ」と受け止められるので、逃げた経験だって今後の糧になりますよ。

ただ、りょうこさんの家族を思う気持ちも大切ですし、すぐに決断できない場合は「いざとなれば、転職すればいい。転職できるんだ」と胸に秘めておくことで、少し楽になるかもしれません。

りょうこさん: 今の職種はつぶしがきかなくて、転職するとしてもすべて未経験の仕事になってしまうと思うので、「本当に転職できるのかな?」とも思ってしまうのですが……

山下さん: 、"未経験だからできない"となってしまうと、ずるずる足も手も止まってしまいます。そこがもったいないなと思っていて、覚悟を決めて努力できれば、いくらでもキャッチアップできます。それだけの可能性がりょうこさんにあるということを、ぜひ忘れないでいただきたいです。

りょうこさん: 『私は転職できない』と思っていたのですが、もしかしたら自分で自分の可能性に蓋をしてしまっていたのかもしれません。"転職という選択肢もある"、"逃げてもいい"というのは、今の私にとってとても心強い言葉です。まずは、目の前の仕事をがんばって、将来について考えてみようと思います。

山下さん: たとえ復職後のお仕事がご自身の希望するものから外れていて、苦しかったとしても、それに見合うだけの経験は得られます。そして後で振り返ってみれば、いい思い出になっているかもしれません。転職しても、今の仕事を続けても、どちらに転んだって無駄な経験なんて一つもないんです。まだまだ30代前半。将来にもっと希望を持っていいと思いますよ。

○山下真実

株式会社ここるく 代表取締役・社会起業家・2児の母。
米国留学によるMBA取得、米系投資銀行・金融コンサルを経て、ママになったことをきっかけに子育て支援という全くの新領域へ。人気レストランから選べる託児付きランチサービス「ここるく」を2013年にスタート。サービスを通じて集まる働くママのインサイトと、MBA・コンサルで得た専門知識の両面から、ママ向けサービス開発や育休復帰・働き方改革コンサルティングなども手掛ける。『第14回女性起業家大賞』、三菱UFJ銀行主催『Rise Up Festa』最優秀賞受賞。


育休コミュニティ「MIRAIS」(代表:栗林 真由美/2018年8月発足)
「なんとなく育休をなくしたい」をミッションに、全国各地及び海外からの参加者も在籍。それぞれがキャリア、子育て、自身の成長などジャンルを問わず育休中のテーマを設定し、未来にこう在りたい自分の姿をかたちにするために活動。メンバー主催のキャリアや子育てなどの考察を深める読書会、外部講師を迎えての勉強会やオンライン交流会など、育休を自己実現の積極的な機会とするためのコミュニティ。その活動はこれまでの育休の概念を変える新しい形として、設立2年目にして日本経済新聞、日本テレビ「news every.」等のメディアに取り上げられ反響を呼んでいます。2021年3月19日(金)には産育休者向けのWebサイト「育休ガイド IKUMICHl~"わたしらしい"に出会う育休の歩き方~」をリリースしました。

○比恵島由理子
イラストレーター、2児の母。早稲田大学を卒業後、一般企業に就職するもデザインの道を志し、東京デザイン専門学校で学ぶ。編集制作プロダクションで実用書を中心とした書籍編集・イラスト制作を経験した後に独立。現在はWebメディア向けに活動中。自身の出産体験や子育てについてnoteに掲載している。