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20代長女が「なぜ産んだんだ、こんな化け物を!」暴力と自傷行為繰り返す 親は追い出せるのか

2021年04月25日 08:41  弁護士ドットコム

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問題行動の多い20代の長女を家から追い出したいと、母親から弁護士ドットコムに相談が寄せられています。


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相談者と長女は、離婚した夫(父親)から暴力を受けたことから、精神疾患を患っているそうです。高校を中退後は「クレジットカードを次々に作ったり、国民年金からの督促が来たりと家計に非協力的」だといいます。また「金銭的な恐怖や気に入らないことがあると自傷行為に走ったり、大声で脅したり泣きわめく」こともありるそうです。



過去には自殺未遂したこともあり、相談者はいくつかの施設に相談しに行きましたが、解決に至りませんでした。現在、長女はアルバイトで働いてはいますが、月収8万円ほど。現在は、相談者の父親が購入したマンションに長女、次女と3人で暮らしています。



しかし長女が家で暴れ、経済的な負担が続くことに「いずれ離れなければ私も次女も生きていけません」と苦悩しています。また長女の粗暴な態度に怯えている相談者は「家の中で威張り散らし、破壊的なその様子がこわい…」とも書いています。



すでに成人している長女を家から追い出すことに法的な問題はあるのでしょうか。また成人している長女の扶養について、親はどこまで法的な義務があるのでしょうか。家族の悩ましい問題について、瀧井喜博弁護士に聞きました。



●弁護士解説のポイント

・親は「生活扶助」の限度で義務を負う
・家から追い出しても法的な問題は問われない可能性が高い



●「生活扶助義務」と「生活保持義務」

まず、長女がすでに成人していることから、相談者が長女の扶養について負う義務は、成熟子に対する扶養義務ということになると思われます。その内容は、自分の生活に余裕があれば、その限度で長女を援助するという義務というものです。この義務のことを「生活扶助義務」と呼びます。



これに対し、長女が精神疾患を患っているため、経済的に自立できていない未成熟子であると評価される可能性も考えられます。子どもが未成熟子の場合、親は、自分と同等の生活を保持する義務を負います。これは、1つのパンでも分け合わなければならないと表現されるものです。この義務のことを「生活保持義務」といいます。



もっとも現在、アルバイトで月8万円ほどの収入があることからすれば、長女は働くことができると考えられます。したがって、相談者は、長女の扶養について「生活扶助」の限度で義務を負うということになると思われます。



●追い出しても「法的な問題は生じない可能性が高い」

ーー相談者と次女の安全を確保し、長女の自立を促すために、家から追い出した場合、法的な問題にはならないと考えてよいのでしょうか。



話合いで解決できない場合、最終的には、明渡訴訟を提起することになると思われます。 長女は、すでに成人しており、親の親権には服さないので、長女を家から追い出すことが居所指定権(親が子どもの居所を指定する権利)の濫用となることはありません。



長女が未成熟子と評価された場合でも,生活保持義務は負うものの、明渡請求をすること自体は問題ありません。したがって、長女を家から追い出したとしても法的な問題は生じない可能性が高いと思われます。




【取材協力弁護士】
瀧井 喜博(たきい・よしひろ)弁護士
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。自由と自律性を押し出す新しい働き方、ずば抜けて楽しい職場環境の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。
事務所名:弁護士法人A&P 瀧井総合法律事務所
事務所URL:http://takiilaw.com/