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『名探偵コナン』トラウマ回“スプラッタ編” 残酷すぎる殺害方法に恐怖が止まらない!

2021年04月24日 12:51  リアルサウンド

リアルサウンド

『名探偵コナン』トラウマ回“スプラッタ”編

 今や国民的ミステリー漫画の金字塔となった『名探偵コナン』。昨年から公開延期となっていた新作映画「緋色の弾丸」も公開され、コミックスも100巻を目前にストーリーもいよいよクライマックスの様相を呈している。


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 名探偵コナンの連載開始と同じ年に生まれ、幼稚園児の頃から親が集めていた単行本を読み漁り、その結果悪夢でうなされるようになったことを母親が幼稚園の保母に叱られ、その後も親に代わって単行本を収集し続けた、まさに生まれながらの『コナンファン』である筆者。そんな筆者が今回取り上げるのはコナンのダークサイドとも言えるような『トラウマ回』である。


 特に初期の『名探偵コナン』は、読んだもののトラウマになるような回が多いことで知られる。幽霊のような人智を超えた存在を彷彿とさせるホラー的エピソードから、猟奇的で生々しい殺人描写まで、1度読めば忘れることのできない、まさに『トラウマ』となるようなエピソードが数多く存在する。


 今回はその中でも「スプラッタ編」と題し、血生臭く生々しい殺人描写が衝撃的な回を紹介しよう。


■ジェットコースター殺人事件(第1巻)


 『名探偵コナン』の記念すべき第1話で描かれた「ジェットコースター殺人事件」。新一や蘭、黒の組織の面々が初登場し、謎の薬(後にAPTX4869と発覚)を飲まされた新一が幼児化するなど、第1話らしくその後の物語の基盤が描かれるエピソード。その一方で描かれる殺人事件の凄惨さは、新一の幼児化に引けを取らないほどの衝撃だ。


 新一と蘭、そして黒ずくめの男たちとジェットコースターに同乗した男性が殺されるのだが、ジェットコースターがトンネルを抜けた先で男性の首が切断され、大量の血が噴出している様は一度見ただけで忘れられないインパクトを残す。その後老若男女から愛される作品となる『名探偵コナン』という物語を語る上で避けては通れない第1話でこの凄惨っぷりは、作者や編集部もこの作品がここまで幅広い世代に愛されるようになると当時は想像していなかった証左でもあるだろう。


■美術館オーナー殺人事件(第4巻)


 とある休日、コナン、蘭、小五郎の3人が出かけた先の美術館にて、美術館の閉館を企むオーナーが殺された事件。「地獄の間」と呼ばれる展示室で、展示用の剣で喉を貫かれたオーナーが磔にされるという、こちらもあまりにも強烈な殺され方だ。この回がさらにエグいのは、監視カメラに録画されていたオーナーが殺害される瞬間。背中から一太刀、続いて正面から肩に振り下ろすように刃を浴びせ、トドメと言わんばかりに喉元を一突きする模様は絶大なインパクト。監視カメラを欺くため、そして展示室に飾られた絵画と犯行現場を重ね合わせるために犯人が着用した展示用の甲冑による殺人、そして恐怖に顔を歪めるオーナーの表情が、死体の様と合わせてトラウマになっている読者も多いのではないだろうか。これは余談だが、この回がアニメで放映された際は殺害されたオーナーの表情が原作以上にエグく、苦悶に満ちた様子で描かれている。原作とアニメ版を比較して見るのもおススメだ。


■山荘包帯男殺人事件(第5巻)


 コナン史上最も残虐なトラウマ回と言えばこの「山荘包帯男殺人事件」だ。鈴木園子の招待で園子の姉の映像研究部の同窓会に参加した蘭とコナン。映研仲間の一人が顔中に包帯を巻いた男に連れ去られ、森の中でバラバラに殺された状態で見つかるというストーリー。チューリップハットに黒いマント、顔中包帯という出で立ちの包帯男のビジュアルもホラーめいているが、なによりその死体発見シーンがトラウマ必至。最初に足、次いで腕とバラバラに切断された身体の部位が次々に見つかるシーンだけでも身の毛がよだつが、さらに衝撃なのはこの次のコマ。首と胴体が見つかり、胴体を抱きかかえ起こそうとした瞬間首がゴトンと音を立てて落ちるシーンは多くの読者のトラウマになったことだろう。


 このエピソードは単に残虐な殺人描写だけに留まらず、その殺人方法が犯人のアリバイトリックにも活用されたというのがこの話の個性を際立たせている。トリックの詳細をここで記すことは避けるが、後にも先にも残虐な殺人方法とトリックがここまで絶妙に噛み合ったエピソードは『コナン』に留まらず他のミステリー作品でも類を見ないのではないだろうか。その衝撃的なトリックはぜひ単行本で確認していただきたい。


 ここまで紹介した3本は長い『名探偵コナン』の歴史の中でも最初期の作品が多い。やはり『コナン』が世代を問わず国民的に愛される作品になるにつれて、どうしてもこういった猟奇的な描写は減少していく傾向にあった。また最初期と現在の絵のタッチを比べてみても、近年は特にマイルドなタッチに変化していることが分かる。ここまで紹介したホラーめいた作風が『コナン』の魅力の一面と思っていた私のようなファンにとって、こういったエピソードの減少には少し残念な思いもあるが、仮にこうした作風のエピソードばかり続けていたら、きっと今の『コナン』の人気は無かっただろう。とはいえ作者の青山剛昌は今でも時折こういった猟奇的なエピソードも描いている。単行本86,87巻に収録された「県警の黒い闇事件」では、首が切り落される事件が多発。この事件に上記した『ジェットコースター殺人事件』や『山荘包帯男殺人事件』を彷彿とした読者も多かったのではないだろうか。こちらもぜひチェックしてみてほしい。


 様々な切り口から魅力が溢れる『名探偵コナン』の世界。その幾多もある面の1つとして、スプラッタ描写やその変遷にもぜひ注目してみてはいかがだろうか。


(文=ふじもと)