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少年忍者・深田竜生、刺激を求めて女装する少年に 妖しい狂気に満ちた谷崎潤一郎「秘密」映像化

2021年04月24日 12:31  リアルサウンド

リアルサウンド

少年忍者・深田竜生、女装して街を彷徨う?

 谷崎潤一郎の「秘密」を原案にしたドラマが、WOWOWオリジナルドラマ『文豪少年! ~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~』にて少年忍者 深田竜生主演で4月25日に放送・配信される。


 『文豪少年!』はジャニーズJr.の人気ユニット「少年忍者」から精鋭12名を主演に迎え、日本文学を代表する文豪たちの小説を新たな切り口で映像化する、一話完結のオムニバスドラマだ。


関連:WOWOWオリジナルドラマ『文豪少年! ~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~』ポスタービジュアル


 舞台は町の片隅にある小さなブックカフェ。この店では訪れる少年たちの抱える悩みやためらいに合わせて、未来を拓くための一冊が用意される。少年たちが、カフェのマスターに手渡された本をめくってみると、彼らだけの物語の世界が始まる――。


 第六話「稲荷坂の秘密」で原作となるのは、谷崎潤一郎「秘密」。


 1910年のデビューから明治・大正・昭和と半世紀にも及ぶ創作活動の中で、時代と共に作風を変化させてきた文豪・谷崎潤一郎。「刺青」「痴人の愛」など初期の官能・耽美的な作品に始まり、昭和になると「春琴抄」「細雪」といった作品で日本の伝統文化や古典の影響が見られようになり、晩年になると『瘋癲老人日記』のような老人の性を描く独自の文学を生み出していく。


 初期作に当たる1911年発表の「秘密」は、一人の男が気まぐれな考えから非日常の世界に迷い込んでいく様を描いた短篇だ。


 主人公の〈私〉は、秘密を持つことで日々の生活に与えられるだろう〈一種のミステリアスな、ロマンチックな色彩〉に憧れていた。ふと思い立って浅草のお寺の一室を借り、自分しか知らない隠れ家を手に入れた〈私〉だが、それだけに飽き足らない。


 〈女の姿で往来を歩いて見たい〉と衣装や化粧品を揃え、女装をして夜な夜な散歩に出かけるようになる。男であるという秘密を抱えながら出歩くのに快感を覚える〈私〉は、夜の浅草でさらなる刺激を与えてくれる人物に出会う。


 今回は、物語の舞台を現代に移す。〈幼稚園の頃にドレスを着て遊んでいたのは、この役を演じることになる伏線だったのかもしれません(笑)〉とちゃめっ気たっぷりにコメントしている主演・深田竜生だが、ドラマでは「秘密」の持つ怪しい魅力の虜となった少年を熱演する。本シリーズでも異色の狂気的なキャラクターに要注目だ。


(文=藤井勉)