2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGPでのアクシデントについて、ウイリアムズのジョージ・ラッセルは、メルセデスのバルテリ・ボッタスが“紳士協定”を破ったことが接触の一因であると、レース直後に発言した。ボッタスはこれを否定し、接触が起きた原因はラッセルにあると改めて主張した。
ラッセルはタンブレロへと近づいていくなかで、ボッタスを追い越そうとして衝突した。ウエットからドライへと変化していくコンディションのなか、ラッセルは濡れて滑りやすい白線の上にタイヤを乗せたことでコントロールを失い、ボッタスのマシンの側面に接触。その後、双方のドライバーはコースオフし、激しくウォールにぶつかった。
衝突の結果、コース上に大量のデブリが散らばり、レースは赤旗中断となった。またどちらのチームも多額の費用をかけてマシンを修復しなければならなくなった。
マシンから降りた直後、ボッタスに近づいて怒りを示したラッセルは、ボッタスが急に「右に寄せた」ために、自分は追い越すためのスペースをなくしたとして、ボッタスはドライバー間の暗黙の合意を破ったと発言した。
「DRSを使って速さで勝るマシンが(後ろから)近づいてきた場合、最後の瞬間にステアリングを切ることは控える。それは、すべてのドライバーが合意している紳士協定だ」とラッセルは主張した。
「とても小さな動きだったけれど、時速220マイル(約354.06km/h)で走っていて前のマシンより時速30マイル(約48.28km/h)速いときには、大ごとになる」
さまざまな映像を見た後、落ち着きを取り戻したラッセルは、コンディションを配慮すべきだったがボッタスは悪くはないと発言、その後、正式にコメントを発表し、「起きたことについてじっくり考えた結果、自分はあの状況にもっとうまく対処すべきだったのだと分かった」と述べ、ボッタスやウイリアムズに対して謝罪した。
その謝罪の前に、ボッタスはラッセルが言う“紳士協定違反”について反論していた。
「僕はそのような見方はしていない」とボッタスは語った。
「僕は突然動くようなことはしなかった。彼のオンボード映像でもそれは明白だと思う。僕は常にスペースを残していた」
「僕の考えでは、そんなことはしていない。防御をするのは当然のことだし、彼のためにオーバーテイクする余地を与えるつもりはない。一方で、レースをしている時、僕は(相手に対して)敬意を持っている。つまり、彼とは見方が違うということになるね」
ボッタスは順位を守っている時に「もっとアグレッシブになることもできた」と語り、濡れた路面を使って追い越しをかけるリスクを冒す選択をしたのはラッセルであり、その結果その試みが失敗に終わったのだと主張した。
「彼はそこが湿った場所だと知っていた。あそこをすでに何度も走っていたのだから」とボッタスは語った。
「僕も知っていた。あのコンディションでスリックで走っている時、あそこはオーバーテイクをしかける場所ではなかった。それなのに彼はあそこで行ったんだ」
「あそこで行く選択をしたのは彼だ。僕はポジションを守るという自分の仕事をしていた。彼のためにどいて、路面が乾いている場所を譲るようなことはしない。当たり前のことだ」