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「こち亀」両津勘吉は元祖・迷惑系? 器物損壊から道交法違反まで、その“悪行”を検証

2021年04月22日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 義理人情に厚くよくも悪くも豪快な生き方が魅力的な『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公、両津勘吉。破天荒な言動が目立つが常識的な一面も持ち合わせている愛されキャラクターだ。しかし本作を読んでいると「えっ!?」と驚くようなような行動に出ていることも少なくない。本稿ではそんな両津のほぼ犯罪と思える行為を見てみたい。


関連:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』125巻(集英社)


■勝鬨橋を破壊


 中川が所有する大型豪華客船で派出所のメンバーとともに東京湾を遊覧することになった両津。「一度でいいから操縦してみたい」「隅田川下りをする」と操縦室に入り、船長を騙して外に出し、船を動かす。


 客船を隅田川に入れると、勝鬨橋へと向かう。大型のため橋をくぐることができない船だったが、両津は橋の上にいる車に向かって「どけ」などと叫び、強行突破を図る。最終的に「開かぬなら、このまま通ろう勝鬨橋」と叫び、船で橋を叩き壊す。通行していた自動車も、川に落ちてしまった。


 警察が追いかけてくると、派出所のメンバーは無関係を装うため備え付けのヘリコプターで逃亡。両津は永代橋も壊したうえ、マスコミのヘリも壊す。結局、船は河川敷に乗り上げ、止まってしまった。(39巻)


 橋を壊す行為は紛れもない器物損壊罪。重罪になること間違いない、破天荒すぎる行動だった。


■自転車で道路交通法違反


 自分の行動を防犯カメラで監視され、恥ずかしい行動を次々と部長に指摘されたことに憤る両津。悪知恵の働く彼は防犯カメラの死角をつく、エロ本はダミーに買わせるなどしてカメラから完全に姿を消す。


 そんな両津だったが、意外なところで足がつく。自転車に乗り83キロのスピードで走っているところを速度違反自動取締装置「オービス」に撮影されていたのだ。部長は「馬鹿な。車でも早々スピードが出てないと写らんはずだぞ」と驚きを隠せない。


 出勤してきた両津に、部長は道路交通法違反で「減点(違反点数)2、反則金1万5000円だ」と宣告。両津の月給はマイナス10万になってしまった。(88巻)


 部長の指摘どおり、両津の行動は道路交通法違反。一流競輪選手の最高速度でさえ70キロ程度ということを考えると、両津が記録した83キロというスピードはまさに怪物。言うまでもなく、自転車での暴走運転は事故を引き起こす可能性が高い。絶対にやめよう。


■わいせつ物販売


 派出所で昇進しないことを嘆く両津に中川は「不祥事が原因じゃないですか?」と指摘する。すると両津は「パトカー爆破、本庁爆破、葛飾署火事」など、次々に犯罪歴を明かす。中川は「懲戒解雇にならないだけでもラッキーですよ」と話した。


 納得がいかない両津は「クリエイティブな仕事がしたい」と中川を脅迫し、グループ会社が経営するデザイン会社に空間デザイナー「ピエール両津」として働きに出る。


 客から裸婦の像を造るよう注文を受け製造すると、その出来が評価された両津。するとどんどん像が過激になり、規制が入り合法的に販売できなくなる。すると両津はネットで売りさばき、わいせつデザイナーとして逮捕された。


 次に、出版社にカメラマンとして入りヌード写真が高評価を得るも、発禁になり、それをネットで販売し逮捕されてしまった。そんな様子に中川は「いろいろやっても結局裏の業界に落ち着く」と嘆いた。(125巻)


■両津だから許される


 警察官の不祥事が相次ぎ、その信頼と威信が失墜しつつある昨今。両津の行動も、現実ならば、懲戒免職処分&即逮捕を免れない。両津の行動は、作品だからこそ許される。そこを誤認しないよう願いたい。