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茨城「死の防波堤」過去72名が死亡も、釣り人あとを絶たず…港湾事務所が注意呼びかけ

2021年04月20日 13:31  弁護士ドットコム

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茨城県鹿島港にある防波堤で、立ち入りが禁止されているにもかかわらず、侵入しようとする釣り人の様子が報じられ、話題となっている。


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4月19日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系列)では、釣り具を持った男性たちが、防波堤の門の近くにある階段の入り口や柵を乗り越えて入っていく様子などを映し出されていた。



巻かれていた有刺鉄線もおかまいなしで入っていった男性たちは、釣り竿などを持って防波堤へ向かっていった。柵を乗り越えた後、どういうわけか防波堤の中にあった自転車に乗って去っていく別の男性もいた。



さらに、門の鍵を開けて、堂々と門から入っていく男女3人組も。3人組が鍵を持っていたことについて、別の釣り人は「鍵を持ってる。みんな持っているから」「結局そういうもんなんよ」と話していた。



●過去に72名が亡くなっている「死の防波堤」

鹿島港の防波堤では、釣り人の転落事故が後を絶たない。特に、全長約4キロメートルある「南防波堤」は、洋上に突き出た形になっているため、荒れた海の影響を受けやすく、押し寄せた波にさらわれるなどの事故が多発しているという。



鹿島港湾事務所の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に、「過去に72名が亡くなっている」として、立ち入り禁止の場所であることを改めて強調した。



同事務所は、警察や海上保安庁と合同でパトロールを実施したり、防波堤にいる釣り人を確認した際には警察に通報するなどして対応している。



通報した際には、警察による対応で退去してもらっているが、逮捕にまで至っているのかどうかについて、同事務所は「把握していない」という。



●建造物侵入罪にあたる可能性も

法的にはどうなるのか。



侵入を防ぐために施錠可能な門や立入禁止の看板を設置し、港湾事務所などによって管理されている防波堤に無断で入れば、「正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入」したとして、建造物侵入罪(刑法130条)にあたる可能性がある。



転落事故が発生すれば、釣り人本人だけでなく、救助業務に携わる関係者をも危険にさらすことになる。ルールを厳守し、安全第一で釣りをすることは、釣り人の最低限のマナーではないだろうか。



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