F1第2戦エミリア・ロマーニャGP初日フリー走行では、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが総合3番手の速さを発揮した。一方でレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは駆動系トラブルでFP2をほとんど走れず、セルジオ・ペレスはFP1で他車とクラッシュ、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅は電気系トラブルと、決して順調なセッションとはいえなかった。
なかでも電気系トラブルに関しては開幕戦でもガスリー、ペレス車に出ていたわけだが、その原因に関するホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターの見解は、「いろいろな複雑な因果関係だと、現時点では捉えている」というもので、簡単に解決できそうな問題ではないことを伺わせた。
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──初日は3台が事故やトラブルに見舞われました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):今年からフリー走行が60分に短縮されて、そのなかで何かが起きるとリカバリーは厳しいですね。止まるとか完全に壊れてしまうのはもちろんのこと、何か起きただけでけっこう厳しいスケジュールになっていることを改めて感じましたね。
──そんななか、唯一ノートラブルだったガスリーが3番手タイムでした。
田辺TD:はい。FP1で事故にあったペレスも、FP2では6番手タイムでした。角田くんはFP1で電気系のデータ異常が出たのでいったん止めて、FP2に向けて関連パーツを交換した。その後は順調で、7番手タイムを出しました。フェルスタッペンがほとんど走れずにFP2を終えたのは残念でしたが、初日の感触としてはそれほど悪くなかったと思っています。
──フェルスタッペンはドライブシャフトのトラブルとのことですが、パワーユニット(PU)にダメージはありませんか?
田辺TD:PUへの影響はまったくありません。
──角田選手はESとCEの2ユニットを交換したわけですが、開幕戦でのガスリーのトラブルと類似した症状だったのですか。
田辺TD:症状はガスリーとは違うし、ESにトラブルが出たペレスとも違うものでした。フリー走行前後の時間に追われた状況ではPUに手をつけられないので、ユニットをそのまま交換しました。それ以外の車体周り、PU周りのパーツも、交換できるものは交換して万全を期しています。
──開幕戦からいろいろなクルマに電気系の不具合が出ているわけですが、これは今季から投入した新世代PUと関係したトラブルなのでしょうか。
田辺TD:いろいろな複雑な因果関係だと、現時点では捉えています。ただ新PUに関係したものではありません。少なくとも開幕戦のトラブルに関しては。今回の件はこれから詳しく解析しますが、ないと思っています。
──角田選手のES、CEの不具合ですが、開幕戦のガスリーも今回の角田選手も、コースアウト後に交換しています。振動とか衝撃が関係している可能性は?
田辺TD:ガスリーに関しては、まったく関係ないですね。角田くんの方はこれから調べますが、コースオフ直後に何かが急変したというデータはない。なので大きな影響はなかったと考えています。
──FP1ではサーキット側の光ファイバーのシャットダウンで通信障害やGPSが使えなくなったりいろいろ不具合が出ましたが、ホンダの作業にも支障は出ましたか?
田辺TD:いえ、ホンダのシステムは正常稼働していました。自分たちのデータを見る分には、いっさい支障は出ていません。PUがきちんと機能しているか、確認するデータ上は問題ありませんでした。
──障害はセッション終了時まで続いたのですか?
田辺TD:途中で復活したと思います。GPSは割と早く直ってましたね。