囲み取材の場に姿を見せたホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターは、いきなり「すごく寒いです」。厚手のジャケットを着込んで、完全防寒体制だった。この時期のイタリア中部は例年なら初夏の陽気になることも珍しくないが、今週末はかなり低温のコンディション、さらに日曜日には雨の予報も出ている。
開幕戦ではメルセデスをしのぐパフォーマンスを発揮した一方で、ホンダ製パワーユニットにもいくつかトラブルが出たが、「原因を究明し、再発しない形で」第2戦に臨むとのことだった。
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──見るからに寒そうな格好ですね。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):すごく寒いです。今、雨が降り出しました。去年より5度くらいは低い週末になりそうです。日曜日には、雨が降るかもしれませんしね。
開幕戦はポールポジション獲得などいい部分もありましたが、最後の最後に表彰台の真んなかを逃した。我々にトラブルも出ましたしね。そのあたり、すべてがきちんと機能して、このレースに臨めればと思います。
新しいパワーユニットをバーレーンで実戦投入しました。その見直しと、今週末のレースでの使い方、それらを検討してきました。
──前回はセルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)がグリッドに着く前に止まってしまったり、ペレスとピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)がCE、ESを交換したり、いろいろなトラブルが出ました。
田辺TD:ペレスは電気系トラブルで、原因究明をして解決済みです。レースで使ったものを今回使います。これらの問題に関しては対策を進めて、再発しない形で臨んでいます。ESに関してはガスリーの方で大丈夫なところと部分的にダメなところがあり、ひとつ失ったことになります。ペレスの方は大丈夫で、次戦以降に使います。
──開幕戦では熱問題で、性能を抑えて走っていたとヘルムート・マルコ博士がコメントしていました。それはICE(エンジン本体)の問題なのか、あるいはハイブリッド関連の問題だったのでしょうか。
田辺TD:熱問題というよりもう少し複雑な状況で、信頼性に懸念のある状態だったので、ICEのセッティングを変えて、結果的に若干パワーを抑えた状態でそのまま走り切りました。レース中の変更は規約で許されていませんが、信頼性関連だったということで、レース後にFIAの承認を得ています。
──変えてからは、そのモードのまま走り続けたということですね。
田辺TD:はい。一度変えたら、規約上戻せませんから。
──それでもメルセデスと互角に戦えたのは、ホンダにとって好材料でしたか?
田辺TD:タイヤコンディションなどが違っていたわけですが、まあ全然戦えなかった状況ではなかった。とはいえ手放しで喜べるかといえば、ちょっと難しいと思います。
ーそれがなかったら、もっと楽に勝てていたでしょうか?
田辺TD:いや、それは別問題でしょう。タイヤの状況に関しても、ターン4ではみ出て、そこでタイヤを使い切ってしまいましたし。たらればを語ってもしょうがない。いずれにしてもレース結果として、残念でした。
──今週末は、もっとアグレッシブにいくと発言したという報道もありますが?
田辺TD:いえ、淡々といくだけです。ただ気持ち的には、ここはアルファタウリのファクトリーまでクルマで15分という文字通りのホームレースであり、それはホンダメンバーにとってもホームレースと同義です。気持ち的には非常に気合が入っています。
──イモラはエンジン全開率などを見ても、かなりのパワーサーキットだと思いますが、上位3位ぐらいに入りますか?
田辺TD:いえ、そこまではいかないですね。アゼルバイジャンやスパ・フランコルシャン(ベルギー)に比べれば、そうでもないです。パワー感度が高いという点では、確かにそうですね。