「『アニメージュとジブリ展』一冊の雑誌からジブリは始まった」が、本日4月15日から5月5日まで東京・松屋銀座にて開催中。本記事では同展のメディア向け先行内覧会の模様をレポートする。
【大きな画像をもっと見る】アニメージュ(徳間書店)の編集長も務めていた、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫の“編集者”としての側面に焦点をあて、スタジオジブリの原点を振り返る「『アニメージュとジブリ展』一冊の雑誌からジブリは始まった」。内覧会ではまず三鷹の森ジブリ美術館のシニアアドバイザーであり、イベントを監修した高橋望氏、徳間書店代表取締役の小宮英行氏、三鷹の森ジブリ美術館の館主である中島清文氏が登場し、高橋氏と小宮氏がそれぞれ挨拶をした。その後「風の谷のナウシカ」のナウシカ役を務めた島本須美が、高橋氏とトークセッションを繰り広げていく。
すでに会場を観て回ったという島本は「ついつい立ち止まって、じっくり観てしまいました。『風の谷のナウシカ』のコーナーは観て楽しめるものがたくさんありました」とコメント。また徳間書店で鈴木の直属の部下として働いていたこともある高橋氏は、アニメージュ時代の鈴木について「若い頃は生意気だったので、自分の方が(鈴木よりも)アニメは詳しいと思っていました。そのときはまだスタジオジブリはなかったのですが、鈴木さんはすでに作品制作に携わるようになっていて。もっとアニメージュをよくしたいという思いで、戦うこともありました」と述べる。その後「風の谷のナウシカ」でキツネリスのテトと初めて会ったときにナウシカが言うセリフを、島本がその場で披露する場面もあった。
トークセッションの終盤では、島本が「見どころがたくさんで、(客が)1つのコーナーに長居する様子が想像できます。二度三度と足を運んでください」と語る。高橋は「古い時代のことを扱っているように見えるけど、今につながっている展示です。こういう時代があったと知ることは、アニメ人生を豊かにすると思うので、特に若い世代の方に来て楽しんでもらいたいです」とメッセージを贈った。
会場に入るとまず待ち受けているのは、1970年代後半のアニメブームを掘り下げるコーナー。1978年5月26日に刊行されたアニメージュ創刊号のほか、同誌の誕生以前から刊行されていたアニメ雑誌も観ることができた。歩を進めると「機動戦士ガンダム」に焦点を当てたコーナーが。同作に注目していたアニメージュは、監督である富野喜幸(富野由悠季)をはじめとした制作スタッフやキャストを特集で繰り返し取り上げており、コーナーには当時の誌面が、作品資料やガンプラを使ったジオラマとともに展示されていた。
次のコーナーでは「機動戦士ガンダム」の後、アニメ文化の盛り上がりを受けて展開されたアニメージュ発の商品や施策にフォーカス。ショーケースにはレコードジャケット、文庫本、付録、そして壁にはアニメイラストを使った電車の中吊り広告などがずらりと並んでいた。
後半では鈴木が「風の谷のナウシカ」制作に乗り出し、スタジオジブリを設立するまでの歩みが辿られる。アニメージュのバックナンバーより、高畑勲の監督作品である「じゃりン子チエ 劇場版」の特集号や、アニメージュの転機になったという、宮崎駿を巻頭で特集した号を紹介。さらに「風の谷のナウシカ」の初公開のセル画をはじめ、原画、レイアウト、美術ボード、ポスター、ナウシカが腐海に赴く際に着ていた衣装を再現した「風使いの腐海装束」などを観ることができる。そのほか、鈴木の協力のもと制作された押井守によるOVA「天使のたまご」のコーナーも設けられていた。
会場の物販コーナーでは、1983年11月号のアニメージュに掲載された青色のテトを再現したぬいぐるみや、アニメージュの表紙を使った缶バッジといったグッズを販売。加えて松屋銀座8階レストランシティ内のMGカフェでは、“滅びの呪文”を唱えると“何か”が起こるという「飛行石のブルーレモネード」、透明な丸いドームの中に入っている抹茶味の「風の谷のモンブラン」といったコラボメニューが提供される。
入場は日時指定制で、チケットはローチケにて販売中。6月19日から9月12日までは宮城・マルホンまきあーとテラスでも開催される。
■ 「『アニメージュとジブリ展』一冊の雑誌からジブリは始まった」
会期: 2021年4月15日(木)~5月5日(水)
時間:10:00~19:30 ※最終日は17:00閉場、入場は閉場の30分前まで。
会場:東京都 松屋銀座8階イベントスクエア
会期:2021年6月19日(土)~9月12日(日)
時間:10:00~17:00 ※8月11日~15日は10:00~18:00。
会場:宮城県 マルホンまきあーとテラス