2021年04月13日 18:01 弁護士ドットコム
政府が提出した出入国管理法の改正案に、難民認定の手続き中であっても強制送還できる制度が盛り込まれていることについて、日本クルド文化協会は4月13日、非常に強い懸念を示したうえで、この制度を盛り込まないよう求める要請書を衆参両院議長あてに送付した。
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同協会は「クルド人は単なる経済難民ではなく、トルコ社会における差別、当局の不当な逮捕、収監等から逃れるために日本に来た」「法改正によりクルド人が強制送還されれば、不当逮捕、収監、司法上のいやがらせ等がおこなわれることになる」と訴えている。
現行の入管法では、難民認定の手続き中は強制送還が停止されることになっている。ところが、法務省は「申請の繰り返しによる送還回避ができる」などと問題視して、3回目以降の申請については強制送還できるようにしようとしている。
もし、そのように"改正"された場合、迫害から逃れて日本にやってきた外国人に大きな影を落とす。
トルコの少数民族クルド人については、トルコ政府による弾圧が強まっていると報じられており、世界では、クルド人を含むトルコ国籍の難民認定率(2018年)は45.6パーセントにのぼっている。
一方で、日本では、トルコ国籍の難民認定率(1次・2018年)は0パーセントとなっている。クルド難民弁護団によると、クルド人は過去1度も難民認定されておらず、申請を繰り返しているような状況にあるという。
この日、日本クルド文化協会の事務局長、ワッカス・チョーラクさんは東京・霞が関の司法記者クラブで会見し「トルコと友好関係のあるヨーロッパの国と比べても、(日本の難民認定率は)ありえない」「(改正案が通ったら)大変な問題が起きる」と話した。
会見に同席したクルド難民弁護団・事務局長の大橋毅弁護士は次のように指摘した。
「今まさに映像でミャンマーから見せられていることが、(トルコでも)今でも断続的につづいている状況だ。ところが、(日本)政府は『テロ対策だ』『正当な行為だ』として、クルド人に対する迫害のおそれを否定している。
歴史修正主義という言葉があるが、これは世界修正主義と言っていい。まったく不思議な感覚を持ってしまうが、(日本の)法務省は、絶対にクルド人を難民認定するつもりがない。そういう政策のために事実すら捻じ曲げるのは驚くべきことだ」