予選5番手と、手ごたえを課題をどちらも得た公式予選日を終え、TGR TEAM ZENT CERUMOは4月11日(日)のSUPER GT第1戦岡山の決勝日を迎えた。この日の岡山国際サーキットは晴天に恵まれ、2年ぶりのSUPER GTのレースを楽しもうと朝からは多くのファンがグランドスタンドを埋めた。そんななか、チームは決勝レースに向けて慌ただしくスケジュールをこなしつつ、午前11時55分から行われたウォームアップ走行に臨んだ。
まずステアリングを握ったのは立川で、レースに向けたZENT CERUMO GR Supraのフィーリングを確認していき、5周をこなしてから石浦宏明に交代。終盤には1分21秒215というベストタイムをマークし、首位で決勝前最後の走行を締めくくった。
気温19度、路面温度33度というコンディションで迎えたスタートでステアリングを握ったのは立川。1周目から5番手につけ上位をうかがっていく。ZENT CERUMO GR Supraはウォームアップも早く、前を行く#39 GR Supraとはつかず離れずだったが、6周目を過ぎる頃になるとGT300クラスのラップダウンが現れはじめた。
そんななかレースが33周目を迎えた頃、1コーナーでピットアウトしたばかりのGT300クラスのマシンがスピンを喫し、イン側のランオフエリアにストップしてしまった。危険な箇所であり、セーフティカー導入の可能性が高い。セーフティカー導入前までにピット作業を終えなければ、現代の SUPER GTでは勝負権を失ってしまう。それまでにピット作業を行っていなかったほぼすべてのチームがピットインの準備をスタートさせた。時間は一刻を争う。
TGR TEAM ZENT CERUMOでも、こんなときに備えオフの間準備を整えてきた。チームはすぐに立川にピットインを要請する。周囲もピットインするマシンは多く、狭い岡山のピットレーンは大混乱となった。ただ、ふたつ隣のピットだったGT300クラスの車両が自チームのピットをミスで通過し、スペースを空ける形になってしまったことから、ZENT CERUMO GR Supraは通常どおりの位置でピット作業を行うことができた。
これまでのオフに磨いてきた作業で迅速にピットアウトしたZENT CERUMO GR Supraは、交代した石浦の手で、予想どおり導入されたセーフティカー明けにトップ集団を追っていく。ただ前半の立川同様、ややオーバーステアに苦しむことになってしまった。しばらくは5番手につけ、4番手の#39 GR Supraを追っていたが、少しずつペースに苦しみ、後方から#17 NSX-GTが迫ってきた。
終盤、石浦の前方では#17 NSX-GTと#39 GR Supraの争いとなり、ZENT CERUMO GR Supraが接近することもできたものの、最後まで順位は変わらずZENT CERUMO GR Supraは6位でチェッカーを受けた。もちろんポイント獲得ではあるが、表彰台圏内を目指していただけに、やや悔しさも残った。
とはいえ、新たな体制で臨んだ2021年、初めてのレースで得られたものは非常に多い。次戦以降にしっかりと活かしていければ、きっと目標には届くはずだ。チームの地元、富士スピードウェイで迎える5月の第2戦に向け、TGR TEAM ZENT CERUMOは気持ちを新たに岡山を後にした。