電通は4月8日、「LGBTQ+調査2020」の結果を発表した。調査は昨年12月に実施し、20~59歳でLGBTQ+層該当者555人とストレート層該当者5685人の計6240人から回答を得た。
調査ではセクシュアリティを出生性、性自認、性指向の3つの組み合わせで分類し、ストレート層(出生性と性自認が一致する異性愛者)と回答した人以外をLGBTQ+層としている。LGBTQ+層に該当する人は8.9%で、2018年の前回調査と変化はなかった。
LGBT以外の性の多様性、8割が「言葉自体も聞いたことがない」
性自認について、トランスジェンダーと回答した人は0.64%。性自認が決められない・わからないクエスチョニングは0.62%、男女どちらとも感じる・感じないXジェンダーは1.2%となった。
性指向については、ゲイが1.94%、レズビアンが1.33%、バイセクシュアル・パンセクシュアルが2.94%、他人に性的欲求を抱かないアセクシュアルと恋愛感情を抱かないアロマンティックが計0.81%、性指向がわからなクエスチョニングは1.63%となった。
LGBTの認知度は80.1%とで、2015年調査(37.6%)から大幅に上昇した。一方、LGBT以外の性の多様性については8割が言葉自体も聞いたことがないと回答している。
ストレート層は「知識ある他人事層」が最多
ストレート層にLGBTQ+にどのような考えを持っているかを聞き、分類した。最も多かったのは「知識ある他人事層」(34.1%)で、知識はあるが当事者が身近にいないなどで課題感を覚えるきっかけがない人たちと同社は定義している。
次いで多かったのが、課題意識が高く、積極的にサポートする姿勢がある「アクティブサポーター層」(29.4%)。その後は、少子化など社会的影響を懸念するため一見批判的だが人権意識はある「誤解流され層」(16.2%)、知識スコアは低いが課題意識や配慮意識が比較的高いナチュラルにオープンマインドな「天然フレンドリー層」(9.2%)と続く。
一方、生理的嫌悪や社会への影響懸念が著しく高く、人種差別などに興味を持たない「批判アンチ層」(5.7%)、積極的に批判しないものの配慮意識が乏しく課題とは感じていない「敬遠回避層」(5.4%)という人も少数派ではあるがいる。
また、「社会全般において自分の人権が守られている」と回答した人はストレート層で73.4%にのぼるが、LGBTQ+層は54.8%に留まっている。一方、パートナーシップ条例制定都市在住のLGBTQ+層は59.8%と比較的高かった。
最もLGBTQ+への課題意識が強いのは「沖縄県」、次いで「京都府」となった。同社は、沖縄県では性の多様性尊重宣言「美ら島にじいろ宣言」が行われ、沖縄県・京都府ともにパートナーシップ条例を制定している。同社は、自治体の動きが後押しをしているとし、「パートナーシップ条例は、人権保護や地域の意識改善に一定の効果があると考えられる」とコメントしている。