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“あざとかわいい”ヒロイン・栗田ゆう子に海原雄山が敗北? 『美味しんぼ』ファインプレーを検証

2021年04月08日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『美味しんぼ』のヒロインでありながら「あざとい」「毒舌」など、言われ放題の栗田ゆう子。「なんとかならないんですか? 山岡さん」と、何かにつけて山岡をけしかけるイメージも強い彼女だが、実は数多くのファインプレーを見せている。そこで今回はそんな栗田ゆう子の活躍を検証したい。


幻のサバを釣り上げる

 老舗料亭「初山」に招かれた東西新聞の大原社主と山岡士郎ら文化部のメンバー。中に入ると、宿敵・海原雄山と鉢合わせてしまう。険悪なムードのなか料理を食べていると、亭主が山岡に「お好きな刺身は?」と尋ねる。山岡が「サバ」と答えると、雄山は徹底的に馬鹿にする。怒った山岡は「最高のサバ」があると啖呵を切って、後日、雄山に食べさせることになった。


 山岡の言う最高のサバは葉山にしかいない「幻のサバ」で、山岡が船で釣り上げようとしてもなかなか引っかからず、真鯛やメジであっても、海に戻してしまう。精神的に追い込まれていく山岡を救ったのが栗田だった。何気なく釣り竿を垂らしていると、大物がヒット。「私、釣り初めてなんですう」と言いながら名人の力を借り、幻のサバを釣り上げた。


 雄山もこの味には舌を巻き、店の器に難癖をつけ去っていく。山岡が一本取った様子を見て、栗田は「釣った私の腕も忘れないでね」とアピールした(2巻)


 ほとんど「まぐれ」ではあったが、栗田の活躍が山岡を救ったエピソードだった。


海原雄山の試験をクリア

 カメラマンの荒川と東西新聞社・田畑の結婚式を「究極対至高」の対決の場にしようと目論んだ「週刊タイム」。ところが荒川の恩師である木曽が披露宴に反対し、開催が危ぶまれる。


『美味しんぼ』(27巻)

 栗田は単身で美食倶楽部に乗り込み、雄山に木曽を説得するよう頼む。雄山は「東西新聞社を代表して私の試験を受けてもらおう」とニヤリ。さらに「不合格の場合は究極の担当者は味覚も食べ物の知識もないと公表する」とし、「縁起が良くて美味しい飲み物」を作るよう命じた。


 身を案じたおチヨから連絡を受けた山岡が美食倶楽部に到着し、レシピを渡そうとするが、雄山に妨害されてしまう。窮地に追い込まれた栗田はサクランボ酒を水で割り、桜を入れた飲み物を考案。雄山に勝負を挑む。


 雄山は「不十分なもの」としながらも、桜を入れたアイディアを認め、木曽に披露宴に出席するよう口添えすることを約束。栗田は「私の役目は一応果たしたわ」と胸を撫で下ろした。(27巻)


 「勝手に賭けに出て危機に陥れた」という見方もできるが、栗田の判断が、結果として究極のメニューを救ったことだけは間違いないだろう。


海原雄山に勝利

 栗田が団社長と近城カメラマンにプロポーズされたショックから、「カクテル選手権に出るバーテンに協力する」という理由をつけ、連日二日酔いの山岡。


 山岡を栗田と結婚させたいと考えたおチヨは、栗田に山岡の母が作った朝食を教える。そして、栗田は「究極対至高」の朝食対決を「私にやらせてほしい」と頼む。山岡が了承し、その理由を聞くと、一緒にいたおチヨとともに「マザコンの男が母親に勝てっこない」と笑った。


 栗田は対決に向かう車中で「山岡さんのお母様から着想を得た」と自信を見せる。そして対決には牛乳、野菜サラダに加え、焼きたてのパンとバター、そしてマーマレードを出し、和食で勝負した雄山に勝利した。


 勝負後、栗田は車に乗り込もうとする雄山に「奥様のお料理を盗みました」と謝罪する。雄山は「おチヨか。しかしあのバターは違う。私の妻はあのバターを作らなかった」と賛辞を送る。これを聞いた栗田は「私、奥様に勝ちたいんです」と話す。山岡は、この光景を理解し難い表情で見つめていた。(42巻)


 長年雄山に仕えてきたおチヨの助言があったとはいえ、全く料理の知識がない状態で究極のメニューの担当者となった栗田が雄山を倒す。大きな成長を感じさせたエピソードだった。


評価が分かれる栗田だが……

 『美味しんぼ』の見どころは様々だが、その1つに栗田の成長がある。評価が分かれる人物ではあるが、究極のメニュー担当者として一人前になったことだけは、間違いないだろう。