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性的指向を上司に暴露された男性、会社と和解 「声を上げなければ社会は変わらない」

2021年04月06日 16:41  弁護士ドットコム

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会社で本人の了解なく性的指向や性自認を暴露するアウティングをされたとして、都内の保険代理店に勤務していた20代男性が団体交渉で謝罪や賠償などを求めていた事件で、会社側が謝罪し解決金を支払うことなどを条件に和解が成立した。和解は2020年10月29日付。


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男性によると、会社側は、今後アウティングの再発防止のための社員教育を実施し、労災申請に協力する。



4月6日に都内で会見を開いた男性は「声を上げなければ社会は変わらない。もっと社会的にLGBTQについて詳しく周知され、差別をなくす取り組みが進んでいく必要を感じました。私のような被害が二度と起きて欲しくない」と話した。



●会社側は当初「善意でアウティングした」と返答

男性は2019年5月、豊島区にある保険代理店に入社。豊島区で同性カップルなどをパートナーとして認める「パートナーシップ制度」を利用していたこともあり、労働契約書の緊急連絡先を書く際に、社長と上司2人に性的指向と同性パートナーがいることを打ち明けた。



男性は「業務上必要であるときのみ、自分のタイミングで緊急連絡先との関係性を説明する」とお願いしていたものの、6月末に上司から「同性愛者のパートナーがいることを、パート女性に言った。自分から言うのが恥ずかしいと思ったから、俺が言っといたんだよ。一人ぐらい、いいでしょ」などと言われたという。



パート女性は男性のことを無視したり避けたりするようになり、男性は適応障害などを発症し休職。2020年10月に退職した。



2019年12月、男性は労働組合「総合サポートユニオン」に加入。2020年3月から団体交渉を2回おこなったが、会社側は「アウティングをしたのは事実だが、(男性が)入社面接時にセクシャルマイノリティに対しオープンな会社にしたいと言っていたので、善意でアウティングした」などと返答したという。



男性は2020年6月、豊島区の「男女共同参画推進条例」のアウティング禁止条項に基づき、豊島区に対して会社に対する指導などを求めて申し立てをおこなった。



●トランスジェンダーの半数がアウティング経験

LGBTQ当事者の4人に1人が「アウティングされた経験がある」と回答している調査結果もある(「宝塚大学看護学部日高教授 第2回LGBT当事者の意識調査」ライフネット生命委託調査)。中でもトランスジェンダーは約半数が被害にあっていた。



トランスジェンダー当事者で、事件のサポートをしていた遠藤まめたさんは「法律上の性別と異なる性別で生活している場合、法律上の性別が書かれた書類が放置されているだけでもアウティングが生じてしまう」とし、企業に対し情報管理体制を整備するよう求めた。



ユニオンの佐藤学さんは「このような全面的な解決はアウティング事件において非常に珍しい」と評価した。