4月4日、栃木県のツインリンクもてぎで行われた2021年の全日本ロードレース選手権開幕戦もてぎのST1000クラス決勝は高橋裕紀(日本郵便HondaDream TP)が優勝した。
午後からポツポツと雨粒が落ちてきた。ST1000クラス決勝前には大粒の雨が降り、うっすらと路面を濡らしていた。しかし雨脚が強まる気配はなく、ウエット宣言が出され、14周のレースは12周に減算された。また、各車グリッドで慌ただしくタイヤを用意し、グリッド上はドライタイヤとレインタイヤが混在している。
さらに高橋がトラブルを抱えており、決勝レースへのマーキング部品交換期限を過ぎてエンジン交換をしたため、ピットスタートという波乱のスタートになる。
オープニングラップですでに何台もが転倒。その中でホールショットを奪ったのはドライタイヤを選んだ渡辺一馬(Astemo Honda Dream SI Racing)だ。レースをリードしてオープニングラップをトップで戻ってきたのはレインタイヤを履いた渥美心(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)で、後続を約5秒離していた。
以下、豊島怜(speedHeartDOGFIGHTRACINGYAMAHA)、山口辰也(Team T2y)、作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)、渡辺の順で1周目を終える。
渥美は別次元のペースで周回。2周目終了時点で2番手に浮上した山口に対して6秒もの大差をつけた。その渥美よりもハイペースで周回したのがピットスタートの高橋だ。最後尾の36番手から3周目に13番手、4周目には9番手、5周目には7番手、6周目には他車が2分02~05秒で周回するなか1分56秒台で走り3番手に浮上した。
空は明るくなり、ドライタイヤの高橋は7周目には1分54秒台で走行し、ついにトップに浮上。2番手に交代した渥美の後方には路面コンディションの回復でペースを取り戻した渡辺がつける。
8周目。ドライタイヤ勢が順位を上げ、レインタイヤ勢が順位を下げる。2番手に浮上した渡辺の背後にはチームメイトの作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)がつけ、2位争いを挑む。
最終ラップ。35台抜きを見せた高橋はさらに7秒以上の大差を築いて優勝。2位争いは作本の転倒であっさりと渡辺に軍配。津田拓也(WestPower SUZUKI)が3番手でゴールしたものの30秒加算のペナルティを受けたため、4番手フィニッシュした岡本裕生(bLUcRUニトロレーシング51YAMAHA)がST1000クラスデビュー戦で3位表彰台を獲得。スタートからゴールまで大波乱のレースだった。
津田のほかに、榎戸育寛(SDG Motor Sports RT HARC-PRO.)、山口、森健祐(Honda ブルーヘルメットMSC)、大貫貴彦(CLUBNEXT+ネオラグーナ)もグリッド上での作業違反により、リタイアした大貫以外は競技結果に30秒加算の罰則が科された。