2021年04月04日 09:51 弁護士ドットコム
政府が2022年4月の施行を目指す「プラスチック資源循環促進法案」。使い捨てプラスチックの削減などを目的としたものだが、その代表例として、コンビニのプラスチック製スプーンやフォークなどの有料化に注目が集まっている。
【関連記事:花嫁に水ぶっかけ、「きれいじゃねえ」と暴言…結婚式ぶち壊しの招待客に慰謝料請求したい!】
ネットからは「パスタやデザートの売上が減るのでは」など、消費への影響を懸念する声が多く見られる。
いっぽうで、当のコンビニオーナーからは「経費が減ってありがたい」と好意的な意見もある。チェーンの異なる3人のオーナーに話を聞いた。
参考になるのは、2020年7月から始まったレジ袋の有料化だろう。
複数店オーナーAさんは、「始まる前はクレームを覚悟していましたが、案外お客様から怒鳴られることはありませんでした」と語る。
実は3人とも、大きなトラブルは経験していないという。むしろ、今では全員がレジ袋の有料化に好意的な立場だ。
関東のオーナーBさんは「本音を言うと、エコ問題よりも経費を削れたのがありがたかったです」。
レジ袋や箸、スプーンなどは加盟店が購入し、無料で客に提供していたものだ。有料になれば、店の営業経費は少なくなる。
関西のオーナーCさんは、3人のうちもっとも「恩恵」を受けており、月4万円ほどの経費節減になったという。
24時間営業のコンビニは、スタッフの時給を低くしないと利益が出づらい。ところが近年は最低賃金が大幅上昇し、店の経営を圧迫していた。Cさんのような店舗では、レジ袋有料化のインパクトは大きいと言える。
「有料化前は新聞でも袋を要求されていました。うちの店では、袋を買うのは全体の3割くらい。意外と少ないので、環境の面でも良かったんじゃないでしょうか。ただ、袋をつくっている業者さんは大変かもしれません」(Cさん)
プラスチックスプーンやフォークの原価は、1本3円程度なのだという。レジ袋といい、タダで当たり前の「サービス」を考え直すきっかけになりそうだ。
「スプーンを使うような日販品をどのくらい仕入れているかは店にもよりますが、経費が一定程度減るのは確かです」(Bさん)
ただし、プラスチックの消費にどの程度の効果があるかは見解が分かれる。
Aさんは「特に夏場は衛生面が心配。エコバッグと違って、スプーンを持ち歩く人はあまりいないのでは」。値段次第ではスプーンやフォークも買う人の方が多いのではないかと予想する。
いっぽう、Cさんの予想は、「本来スプーンで食べるものをお箸で食べるお客さんも出てくると思います」。箸やストローなど、これまで無料で提供していたものも有料化してくれたほうが環境にも優しく、店としても助かるという。
いずれにしても、3人とも有料化によって、トラブルが起きたり、売上が大きく減ったりする可能性は低いという点で共通している。
もともとコンビニの商品は、スーパーなどに比べて割高に設定されている。有料化で実質的な値上げが起きても、いざ始まってみれば、便利さや商品の魅力などがそれに優るというシナリオもあるのかもしれない。
無料で弁護士に相談する