2021年04月01日 17:41 弁護士ドットコム
飲食店内で、客と見られる男性が女性店員の髪をつかむなど乱暴する様子の動画が、インターネットで公開された。
度を超えたカスタマーハラスメント(カスハラ)は、法的にどのような問題があるのだろうか。第三者であっても、現場を目撃したら、できることがあるという。
問題の動画は、現場に居合わせたとする人によって、ツイッターに3月30日、投稿された。
動画は、男性が「オラ、オラ」など声を荒げながら、無理やり、右手で女性店員の髪の毛をつかむ場面から始まる。女性店員を助けるため、男性店員が間に割り込み、引き剥がした。
このような事態になった原因は判然としないが、投稿者は「男性が女性に掴みかかろうとした手を女性が振り払ったら大げさに後ろの袋に倒れ込んだのです。それでこの逆襲です」と説明し、女性が被害者であるとしている。
今回の動画のように、店員の髪をつかむ行為は、法的にどのような問題があるだろうか。また、店側はどのような対応がとれるのだろう。濵門俊也弁護士に聞いた。
ーー男性が女性店員の髪の毛をつかむ行為は、どのような罪に問われる可能性がありますか
当職も動画を拝見しましたが、なかなか激しいですね。髪の毛をつかむ行為は、暴行罪(刑法208条)が成立しえます。
動画を見ますと、男性は、店内で怒鳴り散らしたばかりか、男性を取り押さえるべく、店の男性店員が男性の動きを止めています。明らかに店の業務に支障が生じており、妨害されていますから、業務妨害罪(刑法234条)に該当しうるでしょう。
ーー従業員が危害やクレームなどを受けた場合、店側が取るべき対応を教えてください
客から危害を加えられた場合には、直ちに警察に通報しましょう。防犯カメラの設置や、刺股(さすまた)・カラーボール等の準備をしておくとよいでしょう。
ーー客など、現場に遭遇した人は何ができるでしょうか
加害現場に出くわしたお客さんができることは、店員さんは加害者対応に追われているでしょうから、店員さんに代わって警察に通報してあげましょう。
防犯カメラが設置してあればよいのですが、今回のようにお客さんが動画撮影することもできるでしょう。動画撮影を開始すれば加害者に対する牽制にもなります。また、動画があれば、警察にも説明しやすくなります。加害者の言い逃れも防げると思います。
なお、投稿者によると、今回のケースでは女性が暴力を振るわれる前からすでに「お店の人が警察を呼ぶ手配をしていました」ということだ。
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【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
事務所名:東京新生法律事務所
事務所URL:http://www.hamakado-law.jp/