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まさかの続編スタートでトレンド入り! 『ときめきトゥナイト』衰えない人気の秘密とは

2021年04月01日 10:51  リアルサウンド

リアルサウンド

『ときめきトゥナイト』衰えない人気の秘密を考察

 少女漫画誌『りぼん』で1980年代から1990年代にかけて連載され、当時の少女たちの心を掴んだ『ときめきトゥナイト』。そんな『ときめきトゥナイト』のタイトルが2021年3月、突然Twitterでトレンド入りした。


関連:【画像】『ときめトゥナイト 真壁俊の事情』


 『ときめきトゥナイト』は江藤蘭世、市橋なるみ、真壁愛良という3人のヒロインによる3部作となっている。江藤蘭世と真壁俊の恋、蘭世の弟、江藤鈴世と市橋なるみの恋、そして蘭世と俊の娘、愛良の恋模様が描かれている。が、それぞれ恋は一筋縄ではいかない。人間界と魔界という種族を越えた恋、吸血鬼、狼男、輪廻転生、超能力、魔女、宇宙人……とさまざまな要素と困難が盛り込まれている。


 そんな三部作の中でも特に人気があるのが、第一部に当たる蘭世と俊の恋だ。2013年には『ときめトゥナイト 真壁俊の事情』が発売されたが、こちらの作品は宝島社「このマンガがすごい!」2014年オンナ編2位にランクインしている。


 先日、話題となったのは、なんと、5月からアラフォーとなった江藤蘭世もとい、“真壁”蘭世の物語『ときめきトゥナイト それから』の連載がスタートするからだ。約30年経っても蘭世と俊のカップルが支持されるのはなぜだろうか。


■王道のラブストーリー


 ヒロインである蘭世はおてんばでドジッ子。でも、恋愛に一途で、ひとめぼれした真壁俊にひたすら想いをぶつけ続ける。


 一方、真壁俊はクールでちょっと不器用。母親のことをとても大切に思っていて、「お母さんを守る」ことがきっかけで始めたボクシングも強い。少しワルなところも女子の心のくすぐる。


 「口には出さないけど、態度には示している」という通り、余計なことは口にしない。それどころか言葉足らずで蘭世とも恋人未満のような状況が長らく続いていた。言葉にしなければ伝わらないとヤキモキもするが、態度で示していると本人が言うだけあって、肝心なところでは体を張って蘭世を守るし、蘭世に言い寄る男性がいたらあからさまにムッとした様子を見せる。そのツンデレ的ギャップと、たまに見せる素の部分が魅力的なのだ。


 そんな男性キャラはいくらでもいるのでは? と思う人も少なくないかもしれないが、当時一世を風靡した『ときめきトゥナイト』だ。真壁俊によってカッコいい理想の男性像を作り上げられた女性も少なくはない気がする。


■前世も恋人だった運命のふたり


 真壁俊の人生はなかなかにハードモードだ。魔界に双子の王子の片割れとして生まれるが、双子は不吉とされ母親と共に人間界へ追放される。記憶と能力を失い人間として生活していたが、16歳のクリスマスに魔界人として覚醒、赤ん坊の姿へと戻ってしまう。その後、数カ月ごとに4歳ずつ成長するが、つまりは魔界人として生まれなおしてしまった。魔界人として覚醒すると、さまざまな能力を扱えるようにもなる。


 さらに前世は2000年前に存在した魔界の王子ジャン=カルロだということが発覚。蘭世の前世はジャンの恋人、ランジェ=エトルリアン。現世で蘭世は俊にひとめぼれしていたし、俊も無意識のうちに特別に思っていたが、それは前世からの繋がりということなのだろう。前世から決まった「運命の相手」。このフレーズには何歳になっても心をくすぐられてしまう。


■仲睦まじい夫婦の姿は憧れ


 2部、3部と物語が続いていく中でも、蘭世と俊は夫婦として、時にはヒロインの両親として登場する。仲睦まじい夫婦の様子に、俊のツンデレ具合は一体どこにいってしまったのか? とも思うが、それには年頃の「男の子」なりの葛藤があったことが『真壁俊の事情』で判明している。


 蘭世は「理想は初恋の人と結婚」と言っていたが、そんな夢を抱いていた読者も多いのではないだろうか。しかし、大人になると現実を知り、初恋の人と結婚したからと言って幸せだとは限らないことも分かってしまう。本当の理想は「結婚した相手と、その後も仲睦まじく暮らすこと」だ。蘭世と同じように時を重ねてきた元少女たちは、だからこそ今でも蘭世と俊をまぶしく思うのかもしれない。


(文=ふくだりょうこ)