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厚労省のシステム構築で過労自死、東芝系SEの遺族「国民の命を守るべきなのに」

2021年03月31日 20:11  弁護士ドットコム

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東芝グループの「東芝デジタルソリューションズ」に勤務していたシステムエンジニア(SE)の男性(当時30)が2019年11月に自死したのは、長時間労働が原因だったとして労災と認定された。


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男性は、厚生労働省から発注されたプロジェクトに従事していた。



男性の両親が3月31日、厚労省記者クラブで会見を開いて、「本来、国民の命を守るべき厚労省のプロジェクトで、命を落とすことになった理不尽さに無念でなりません」などと語った。会社だけでなく、発注元の厚労省にも、真相究明と再発防止を求めている。



●亡くなる直前は100時間の残業

亡くなったのは、安部真生(しんは)さん。東京大大学院を修了し、2015年4月に同社に入社。2019年6月ごろから、厚労省のプロジェクトに従事し、システム構築を担当していた。



要望をまとめる「要件定義」の工程で関係部局等との調整が難航したことなどで、業務に数カ月の遅れが発生。亡くなる1カ月前の残業時間は100時間を超えていた。



川崎南労働基準監督署が2020年12月17日付で労災と認定した。



母の宏美さんは、「長男・真生を亡くしてから、ずっと『なぜ、こんなことが起こってしまったのか?』と考えない日はありません。あれから、時間が止まっています」と胸のうちを吐露。



父の晋弘さんは、会社が労災の申請に協力的だったとしたうえで、「人間関係も含め、心身のケアが不十分だったのではないか。真相を明らかにしてほしい」と話す。



●発注元にも再発防止を求める

両親は、会社側だけでなく、発注元の厚労省にも、真相究明と再発防止を求めている。



厚労省は2018年の「労働政策基本方針」の中で、発注者が著しく短い期限を設定すると長時間労働が起こりやすいなどとして、取引条件の適正化などが重要と指摘。「関係省庁が連携して必要な取組を推進する」としていた。



両親はこの日、厚労省の担当者と面談。納期の設定や業務遅れへの対応などをめぐり、会社側とどんなやり方があったかなどを尋ねた。後日調査結果を受け取る予定だという。



労災認定について、会社側は「極めて重く受け止めており、改めまして故人のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の皆さまに対して誠心誠意対応していく所存です」。



厚労省も「厚労省としても厳粛に受け止めております。面談の内容を踏まえて、誠実に対応してまいりたい」とコメントした。