ティエリー・ヌービル駆るヒュンダイi20クーペWRC 3月31日、ヒュンダイ・モータースポーツとMスポーツ・フォードは、2022年に開始されるWRC世界ラリー選手権における新しい“ハイブリッド時代”に向け、2024年までのシリーズへの参加を約束したことを正式発表した。また、同日FIA国際自動車連盟はこの2社に加え、トヨタのコミットメントが得られたことを明らかにしている。
Mスポーツ・フォードとヒュンダイは、現在のWRC最高峰クラスを戦うマニュファクチャラーであり、TOYOTA GAZOO Racing WRTのライバルとなる存在だ。そのWRCは来季から単一ハイブリッドシステムを搭載した“Rally 1(ラリー1)”規定車の採用を決定済み。同選手権は2022年から、少なくとも2024年までハイブリッドカーの時代となる。
シリーズ通算7回のチャンピオン獲得と61回の優勝、延べ262回の表彰台と1500回以上のステージ優勝を誇る名門Mスポーツは今月、この新規定に対応した車両のテストを開始した旨をSNSでアナウンスしていたが31日、正式にプログラムの継続を発表した。
また、イギリスに拠点を置くチームは、このコミットメントが20年以上にわたって大きな成功を収めてきた“ブルーオーバル”ことフォードとの関係を強化するものとしている。
「我々のスポーツにとって、時代の流れにのることはつねに重要なことだ。ハイブリッドテクノロジーへの取り組みは、ラリーの未来と、より持続可能な未来に向けたフォードのグローバルな取り組みと一致させるものである」と語るのは、Mスポーツのマネージング・ディレクターを務めるマルコム・ウィルソン。
「生産車ベースのクルマにとって、もっとも厳しいチャンピオンシップであるWRCは、最新のロードカーテクノロジーをテストし、開発を促進させるための完璧なプラットフォームを提供している。この開発は我々のスポーツの関連性と継続に不可欠なものだ」
「それはまたフォードとの成功したパートナーシップの継続にも不可欠であり、WRCにおけるMスポーツの当面の将来を保証するものでもある」
「彼らと緊密に協力しながら2022年もこの成功を継続することを目指し、最新のチャレンジャーの開発はここイギリスと、アメリカの両方でのテストを通じて進められている」
フォード・パフォーマンスのグローバル・ディレクターであるマーク・ラッシュブルックは次のように付け加えた。
「WRCが(2022年に)純粋な内燃機関のパワートレインからハイブリッドテクノロジーへ移行することは、フォードにとって好都合なタイミングだ」
「当社は、世界中の最新の乗用車と商用車向けにハイブリッド車と電気自動車の技術を開発しており、電動化の未来向け急速に進んでいる」
「来シーズン、ラリー1カーを走らせることでWRCというスリル満点の光景で、このテクノロジーをテストして実証することができるようになる。そこで何ができるのかを見せるのが待ちきれない」
■「2度のチャンピオンとして、我々たちは新しい挑戦を歓迎する」とヒュンダイ・モータースポーツ代表
ライバルであるトヨタ、Mスポーツ・フォードと同じく、新時代への扉を開くのがヒュンダイだ。2019、2020年と2年続けてマニュファクチャラータイトルを獲得した韓国のメーカーは、ヒュンダイi20 Nを中心とした開発を通じてラリーと市販車技術をリンクさせていくとした。
2014年にWRCに復帰し今季参戦8シーズン目を迎えているヒュンダイ・モータースポーツ。彼らもまたFIAとWRCプロモーターによって定められたハイブリッド規定に基づく新しい方向性をサポートし、WRCでブランドアピールを行いながら持続可能性の証明のショーケースとしての活用を強化する。
ヒュンダイはレース車両と市販車の関連技術の移転を積極的に推進しており、電動化分野においては今年後半にスタートする電動ツーリングカー選手権、ピュアETCRチャンピオンシップ向けに開発したヴェロスターN ETCRを披露済みだ。WRCでのハイブリッド車の導入はこのコミットメントをさらに強化するものとなる。
チーム・プリンシパルのアンドレア・アダモは「ヒュンダイは、現在および将来の自動車技術を紹介する信頼できるプラットフォームを提供することにより、ヒュンダイが設定したグローバルな目標をサポートするために存在する」とコメント。
「レースとラリーを通じて、私たちは明日のヒュンダイロードカーの開発に影響を与え、方向性を示すことができる。これは本当に名誉なことであり、私たちが信じられないほど真剣に受け止めている役割だ」
「したがって、2022年からの新しいハイブリッド規則で、FIAとWRCプロモーターによって概説された将来の方向性をサポートできることをうれしく思う」
「これまでのWRCの成功からインスピレーションを受けたヒュンダイi20 Nを中心にクルマを開発していく。2度のチャンピオンとして、我々たちは新しい挑戦を歓迎し、この新しい時代にヒュンダイの旗を掲げることを楽しみにしているんだ」